女性ホルモンの転換期を迎えるARIA世代。何かと不調を起こしやすい更年期をうまく乗りきるには女性ホルモンの働きを知り、上手に付き合っていくことが大切です。人生100年時代といわれる今、後半の人生をより良く過ごすために、ARIA世代が知っておくべきことは? 東京医科歯科大学女性健康医学講座教授・寺内公一さんに聞いた女性ホルモンの最新知識を3回にわたってお届けします。

(1)物忘れ、集中力の低下、眠れない…これも更年期症状 ←今回はココ
(2)更年期症状を悪化させるスーパーウーマンシンドローム
(3)ホルモン補充療法が閉経後の体に及ぼす効果とは?

エストロゲンは揺らぎながらガタガタと減っていく

―― 40代50代の女性に訪れる女性ホルモンの大きな変化とはどんなものですか?

寺内公一さん(以下、敬称略) 卵巣機能が低下するとエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの分泌が減少し、閉経へと向かっていきます。平均的な閉経年齢は50~52歳。閉経を挟んだ前後数年を更年期といいます。一般的に、女性ホルモンは右肩下がりで一直線に減っていくというイメージがあるかと思いますが、実際は図1のように激しく乱高下を繰り返し、揺らぎながら減っていきます。車はガソリンがなくなり止まりかけたときに思い切りアクセルを踏むと急発進しますが、それと同じ。エストロゲンも急にたくさん出たり、ガクっと減ったりしながら、ガタガタと減少していきます。閉経後は卵巣からはほとんどエストロゲンが分泌されなくなって、男性よりも血中のエストロゲン値は低くなります。

「女性の健康を考えるとき重要なカギとなるのがエストロゲンです」(東京医科歯科大教授・寺内公一さん)
「女性の健康を考えるとき重要なカギとなるのがエストロゲンです」(東京医科歯科大教授・寺内公一さん)
図1 閉経するまでの約5年間でエストロゲンの分泌は激しく乱高下しながら減っていく(Cedars MI, Evans M. Menopause. In: Scott JR, Gibbs RS, Karlan BY, Haney AF, eds. Danforth‘s Obstetrics and Gynecology. Philadelphia, PA: Lippincott Williams & Wilkins; 2003:721-7)
図1 閉経するまでの約5年間でエストロゲンの分泌は激しく乱高下しながら減っていく(Cedars MI, Evans M. Menopause. In: Scott JR, Gibbs RS, Karlan BY, Haney AF, eds. Danforth‘s Obstetrics and Gynecology. Philadelphia, PA: Lippincott Williams & Wilkins; 2003:721-7)

―― 女性ホルモンはただ減少するのではなく、増えたり、減ったりを繰り返すのですね。なぜこうした揺らぎが起きるのでしょうか?

寺内 卵巣機能が低下してエストロゲンの量が減ってくると、脳は「もっとエストロゲンを分泌せよ」と卵巣に指令を出します。すると、卵巣が過剰に反応し、急に分泌が多くなったり、また減ったりを繰り返します。卵巣が過剰に刺激され、排卵が早く起きるため、最初は月経周期が短くなり、次第に月経周期が不規則になっていきます。最終的に脳がいくら指令を出しても卵巣からエストロゲンが出なくなり、月経も起こらなくなって閉経に至ります。更年期にさまざまな不調が起こるのは、この揺らぎが原因なんです。