前回までチームの自走力を高めるためのコミュニケーションについて学んできましたが、第3回は部下が育つことで上司は何ができるようになるのか、その先にある役割について考えます。『課長2.0』(ダイヤモンド社)の著者であり、リモート下で複数のプロジェクトを動かしてきたプレゼンテーションクリエーターの前田鎌利さんに、詳しく話を聞きました。

(1)リモート時代のマネジメント 成功のカギは部下への信頼
(2)自走するチームをつくれるか 命運を分ける上司の質問力
(3)部下は会議で育てる! リーダーの仕事は「外脳」づくり ←今回はココ

会議は人財育成の絶好の場

 前回まで、チームとの信頼関係の重要性、メンバーが自走するためにすべきことについて話をしてきましたが、チーム運営や部下の育成において会議運営はとても重要です。

 私は会議をやる前に「一座建立」という心構えを共有します。これは茶道の言葉で、茶席を開く人と招かれた人の双方がその場をいいものにしようと心を通わせることです。

 その上で、決められた時間の中で「ここまで決定する」とゴールを設定します。ゴール設定できていれば、そこに向かってみんなで協力する。それが一座建立です。「今日は決められなかったね。また来週」ではコミットメントできていないということです。

 ああでもない、こうでもないと文句だけ言ったり、自分の持論を展開して時間を食いつぶしたりする人がいては、一座建立できていないですよね。

 会議には3つあります。「意思決定会議」「報告会議」「アイデア会議」。でも最終的にやることは全部意思決定、決めることが前提です。管理職の仕事は意思決定です。報告だけなら「資料読んでおいて」でいい。報告されて「ありがとうね」で終わることはない。「では、次はこうしよう」「それは不安だからこう対応しましょう」とネクストステップを決める。

 アイデア会議も100個出たアイデアから10個に絞ることも意思決定ですよね。ゴール設定ができていて、メンバーがそれに向かって協力できていて、コミットできれば効率のいい会議は必ずできる。そこに部下の育成を見据えた要素を入れていけば、会議は部下育成のまたとない機会となります。

「一座建立がよい会議をつくり、よい会議運営が部下を育てます」
「一座建立がよい会議をつくり、よい会議運営が部下を育てます」