高みを目指すことより、今この瞬間の幸せを味わいたい

 2009年に働くママのためのコミュニティーとして、「Dear.Tomorrow(親愛なる明日)」を設立しました。働くママのロールモデルがまだなかった時代だからこそ、横のつながりや絆を育てようと親子で集まれるアナログの会を作ったんです。

 9年間、代表として活動を続けてきて、そろそろ次の世代にバトンタッチしようと思った時、時代そのものが変わってきたなと感じて。社会の「働くママ」に対する認識も広がり、「もう自分たちで活動を続けなくても大丈夫なのでは?」と感じました。

 2018年の年末。活動の幕を閉じるべく、ラストクリスマスのパーティーを開催しました。

 最後の代表あいさつの時、娘が卒業式前夜に「She is my mother!」と紹介してくれたエピソードを披露すると、参加していたメンバーも自身の子育て人生と重ね合わせてしみじみ……。娘もカナダから駆け付けてくれていたので、ひとことスピーチをお願いすると、「あの時、私も母と一緒に過ごせてうれしかった。こういう瞬間を幸せって言うんだと思いました」と話してくれました。

 続けて、メンバーの子どもたちに向けて娘からこんなメッセージが。

 「Dear.Tomorrow が始まった9年前、皆はまだ小さかったけど、ずいぶん成長して、あの時の10歳の私と同じ年ごろになりましたね。この会の第一幕は終わるけれど、第二幕は私たちがいつか社会的な風を感じたときに、再び開けましょう

 その言葉を聞いて、「次の世代にバトンを渡せたんだなぁ」と思いましたし、今までは高みを目指し、より大きな舞台へとステップアップすることを目標としていた部分もあったけど、もうそういうんじゃないなって。大きな舞台で輝くよりも、小さな感動や喜びの中に生きたい。大切な家族、仲間、出会った方々と心通わせる瞬間を味わいたい。そこに「本当の幸せの価値がある」と気付いてしまったんです。

人生の岐路に立つ息子からの衝撃のひとこと

 そんな娘との幸せな時間をかみしめていた矢先、息子からとんでもない宿題を出されてしまいました。