家事代行サービスのパイオニアであるベアーズ・取締役副社長の高橋ゆきさん。妻として、母として、活躍する女性経営者の一人として、山あり谷ありの道のりを歩んできたゆきさんだからこそ語れる、“幸せのレシピ”を全6回でお送りするこのコーナー。第2回は、19歳の娘、21歳の息子との心温まるエピソードから感じた「本当の幸せの価値とは?」についての話です。
※第1回の連載はこちら。

娘と手をつないで見上げた花火が生涯で一番まぶしかった

 もともと欲があるほうではないですが、50歳を目前に「自分の人生とバシッと目が合った」途端、余計なものが剥がれ落ちて、ますます「何かを得たい欲求」がなくなりました。

 写真が好きで、長年撮り続けていたので「いつかは海外で個展をしたい!」なんて周りにも言っていたんですが、今はそれもピンと来なくなりました。それは年を重ねて気力や体力が落ちたからではなく、もっと違うものに「幸せの価値」を置くようになったからでした。

「生涯一、美しい花火とともに、娘のうれしそうな『She is my mother!』の声と無邪気な笑顔が、私の一生の宝物となりました」

 昨年6月、カナダに留学していた娘の卒業式に行った時、心に残る、とてもうれしい出来事がありました。

 それは卒業式の前夜のことです。学生たちがステージ上で歌を歌ったり芸を披露したり、全校生徒で盛り上がるバラエティーショーに娘と一緒に参加した時、突然夜空に花火が上がったんです。

 ひんやりとした芝生の上に座り、娘と手をつなぎながら、満天の星に打ち上がる花火を見上げる。娘の手のぬくもりを感じながら見上げたその花火が、これまでの人生の中で一番まぶしかったです。

 花火が見えるその庭で、すれ違う何十人もの友達や先生方に「She is my mother! She is my mother!」と、私の手を引きながら紹介してくれた娘。

 生涯一、美しい花火とともに、娘のうれしそうな「She is my mother!」の声と無邪気な笑顔が、私の一生の宝物となりました。そして人生後半戦に入る私への、娘からの力強いエールにも聞こえたんです。