40代最後の年を迎え、わが人生と目が合った

 ごまかしようがない事実なので、はっきり公言してしまいますが、今年の4月に50歳になります。実は昨年秋ごろのことなんですが、今までにない、初めての感覚を味わったんです。それは、「自分の人生にバシッと目が合う」という感覚です。

 皆さん、ARIAのブランドムービーってご覧になりましたか? その中に「気づいたら私、見晴らしのいい場所に立っている」というナレーションがありますが、まさにその感覚に近いんです。

 今までも仕事や家庭でいろんな壁にぶつかって、そのたびに自分の殻を破ってきたつもりでしたが、それでもどこかで気負いがあったり、カッコつけている自分がいました。

 例えば、取材が控えていたら、わざわざ洋服を新調したり、いいことを言わなきゃと気構えたり。写真もこうやって撮られたほうがいいかなと、いわば「よく見せようとする」自分がいたり。でも、今はね。どう撮られてもいいし、写真が使われようが使われまいが構わない。ただ、今この瞬間を楽しむことができるようになったんです。まるで子どもに戻ったみたいに。

「ただ、今この瞬間を楽しむことができるようになったんです。まるで子どもに戻ったみたいに」
「ただ、今この瞬間を楽しむことができるようになったんです。まるで子どもに戻ったみたいに」

 いま、着ている服もノーブランドの着古したセーターに、3年物のジャケット。パンツも靴もずっとはき続けているものです。でも、私が一番私らしくいられるのはこのスタイルだから、もうそのまんまの姿で来ました。娘からも「そのままがいいよ」って後押しされましたし。

 40代の最後に、ようやく自分の人生と目が合って、「この自分でいいんだ」と心の底から思えるようになったから。何かが剥がれ落ちて、新しい「高橋ゆき」にバーションアップした感じです。