迷っている3年で何歩も先に進める

 ある日突然、友人が事故でぽっと死んでしまったときに、明日は来ないかもしれない、と感じたんです。みんな1年後も生きていると信じているけれど、生きていない可能性もある。やりたいことがあるなら、まずは一歩踏み出すようにしています。

 本当にきつかったら、嫌なものから看板を下ろしていけばいい。やめればいいだけです。失敗したとき、単に投げ出すのではなく、周囲に迷惑をかけないように最低限努力することは大切です。でも、やる前からそんなことを考えていたら一歩も先に進めません。

 私自身が生きていくことができる最低基準がものすごく低いのが最大の強みです。月15万円の生活費があれば都内で娘と一緒に暮らしていけるし、それだけ稼ぐ仕事はいくらでもある。心豊かに幸せに生きることができるベースラインが分かっているから、挑戦し続けることができます。

 迷っている人には、迷っている3年で何歩も先に進むことができるよ、と言いたい。今は変化のスピードが速いので、半年止まっていただけでもそのアイデアを他の誰かがやっているかもしれない。やろうと思ったときが、始めどきです。

取材・文/平野友紀子 写真/吉澤咲子