笑顔美人の私にいつでもなれる自由は、誰にでもある

湯川 モテたでしょうって? そうでもないですよ。かわいげのない女を一生懸命演出していましたから。警戒すべき相手から「君の誕生日に、何が欲しい?」と聞かれたら、「私、無人島が欲しいな」とか言っちゃう(笑)。あるいは「ハワイまでクイーンエリザベス号で連れて行ってほしい」とかね。無理難題を冗談っぽく言うんじゃなくて、ピタッと目を合わせて、ニコッとしながら言うの。そうやって、“寄せつけないたたずまい”を身に付ける。嫌な女ですよね、今思うと。あの頃の写真を見ると、自分でもかわいくない女だなと思いますよ(笑)。

―― 今、歌で描きたいと思うのはどんな女性の姿ですか?

湯川 2月にリリースしたばかりの小林幸子さんの芸能生活55周年を記念したシングル第一弾『ポーカーフェイスにさよなら』は、まさに象徴的かもしれないですね。泣き顔を見せまいと、ポーカーフェイスを貫いて必死で頑張ってきた女性が、自分の本当の表情を取り戻すという歌です。

 笑顔美人の私にいつでもなれる自由。それは誰にでもあるのだと、すべての女性に感じてほしいと思っています。

取材・文/宮本恵理子 写真/鈴木愛子