音楽評論家、作詞家として50年以上のキャリアをもつ湯川れい子さん。仕事だけでなく、家族や恋愛・夫婦関係、子育て、そして闘病などにも触れた自伝が話題です。「女ですもの泣きはしない」(『六本木心中』より)という自身の歌詞のように、さまざまな出来事にたくましく向き合ってきた湯川さんに、「女の人生」についてインタビューしました。第2回は「女が男社会で働いていくために」がテーマです。

ヨヨヨと男にすがる弱い女性「どこにいるの?」

―― 湯川さんが日経新聞のシリーズ「私の履歴書」で半生を振り返った連載は大きな反響を呼びました。連載をまとめた書籍のタイトルは『女ですもの 泣きはしない』は、1984年にアン・ルイスさんのために書いた『六本木心中』の歌詞から取った言葉ですね。当時にしては、かなり斬新なフレーズだったのではないでしょうか。

湯川 世間の反応はそうでしたね。それまでの女性の人生をつづった歌というのは、ヨヨヨと男にすがるような弱い女性を描いた演歌が中心でしたから。なぜか着物で髪をアップにして、未練たっぷりに男を追いかける……。でも私はいつも「嘘よ! そんな女、どこにいるの?」という気持ちでいました(笑)。

 だって、恋愛が終わるとき、未練たっぷりなのはたいてい男性のほう。女は自分が見切った恋に対しては過去のものとして振り向かず、前を向いて歩いていくことが多いでしょう? だから女としての正直な言葉として、私はこのフレーズを書きました。ストレートな言葉こそ、多くの人の心を捉えるのだと信じていましたし、作詞家としてずっと変わらず持ち続けてきた信条です。

1985年秋、49歳の時。この頃は「恋におちて-Fall in Love-」がヒットしていた