満たされることが怖かった。でも真っ当に幸せになりたい

 「初めて何かに飢えずに済んでいる」という今の恋愛は、執筆にどのように影響しているのでしょうか?

 「飢えを満たすために書いて書いて書いて、恋愛して……とずっとやってきたので、飢えがなくなって満たされることが最初は怖かったんです。作家って不幸なほうがいいものを書くといわれたりもする。でも、不幸なままでいたらエネルギーも切れちゃうし、本当は真っ当に幸せになりたいですから

 「今は満ち足りていて、いい感じで肩の力が抜けているから、安心して目の前のものに集中できている感覚があります。それが年齢のせいなのかパートナーのおかげなのか、今までの経験が実を結んでいるのか、その全部なのかは分からないですけどね。しばらくは私生活を切り売りせずに、何か違うところで書こうかなと思っていますね

取材・文/宇野安紀子 村山由佳さん写真/品田裕美 イメージ写真/鈴木愛子