iPhoneパスワードは手入力NG　安全に使うために

キーチェーンをiCloudで共有

　ここまで紹介したキーチェーン機能は端末内に存在するスタンドアローンなものだが、「設定」→「（自分の名前）」→「iCloud」とタップして表示される画面にも「キーチェーン」という項目がある。

　これをオンにすると、端末内にあるキーチェーンの情報が、アップルが運営するクラウドサービス「iCloud」上に預けられ、同様に「キーチェーン」をオンにした同じ「Apple ID」で使用しているアップル製端末間で同期される。

「iCloudキーチェーン」は端末間で同期

iCloudの設定画面で「キーチェーン」をオンにした端末は、iCloudを介してキーチェーンが同期し、どの端末からも同じ情報を利用できる

　この機能は「iCloudキーチェーン」と呼ばれている。例えば、どれか1つの端末でオンラインサービスにログインしてアカウントとパスワード情報をキーチェーンに保存すれば、別の端末でも同じオンラインサービスに自動入力でログインできるようになる。

　端末を1台しか使っていない場合でもiCloud上にキーチェーンが常に最新状態で保存されているので、端末を買い替えたときや初期化直後でもiCloudと同期するだけですぐに使えるようになる。別途アプリをインストールしなくてもよいため、迷う心配も少ない。

　もっとも、iCloud上のデータは暗号化されているとはいうものの、アカウントやパスワード情報をクラウドに預けること自体に抵抗を感じる人もいるかもしれない。抵抗がある場合は、iCloud設定画面の「キーチェーン」はオフにしておくとよい。端末内のキーチェーンは有効でパスワードの保存や自動入力は可能だ。ただし、端末が故障したり、紛失したりした場合は、事前のバックアップがなければ復元できない点には注意しておこう。

自動でパスワードを生成・入力

　オンラインサービスに登録する際のパスワード設定画面やパスワードの変更画面などでは、iOSに強固なパスワードを自動生成させることができる。

iPhoneに強力なパスワードを作らせる

新しいパスワードを入力する際、iPhoneから提案された「強力なパスワード」は自動的にiCloudキーチェーンに登録されるのでメモは不要だ

　画面を見ると記号や数字の羅列が自動的に入力されているため、次に自分が入力する際に困るのではないかと心配になるが、そのままキーチェーンに保存されるので、次回は画面で選ぶだけだ。

　キーチェーンにはURLも記録されているため、Webサイトのログインでは、表示しているWebサイトに合わせて候補となるアカウントとパスワードが提案されることがほとんどだ。

iCloudキーチェーンの基本的な使い方

ログイン画面でキーチェーンに保存されているアカウントが画面下部に表示される。タップして「Touch ID」や「Face ID」の認証で自動入力できる

　同じWebサイトで複数のアカウントを使い分けている場合や、提案されたアカウントが間違っていると思われる場合は画面右下の鍵アイコンをタップするとキーチェーンの一覧画面が表示されるので、自分で選ぶこともできる。