女性の「血」の状態は更年期前後で大きく変わる
エストロゲンの分泌量の推移グラフとともに、血液・血流・血管の変化を見ていこう。
エストロゲンの分泌は初経を境に増え始め、30歳ごろにピークに達した後、徐々に減り、更年期に激減する。閉経をはさむ前後10年間が更年期。個人差はあるが、月経不順やのぼせ、発汗、イライラといった不定愁訴が表れる。
この前後で、血液中の脂質が増える、血流が悪くなる、血管が硬く、もろくなるといった変化が起こり、閉経後は脂質異常症、高血圧、糖尿病、動脈硬化などが起こりやすくなる。
動脈硬化が進んだ血管と健康な血管の違い
閉経後に起こりやすいとされる動脈硬化。イラストで動脈硬化が進んだ血管と健康な血管の違いを確認しよう。イラスト右側が健康な状態、左側が動脈硬化が進んだ状態だ。
心臓から血液を末端にまで送る動脈は、静脈に比べて壁が厚い。血管壁は外膜、中膜、内膜で構成される。内膜は、動脈硬化との関係が深い。
血管は加齢によって硬さを増すが、血管内を流れる血液の状態や血流によっても悪化する。高血圧や脂質異常症などの生活習慣病があると血管内にコブ状の「プラーク」が形成され、詰まりやすくなる。プラークが破れると血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞などの原因に。
霞が関ビル診療所婦人科 医師
静風荘病院女性内科・女性外来 医師
金沢医科大学総合内科学 准教授
取材・文/熊 介子、西山裕子、羽田 光(日経DUAL編集部)、茅島奈緒深 イラスト/日の友太