脳や体の興奮は眠りの質を悪くする

 寝付きや眠りの深さ、寝起きの満足感には、体内時計やホルモンだけでなく、自律神経や体温リズム、睡眠-覚醒リズムなどの複数の要素が影響する。

 一般的に、夕方すぎの適度な運動や就寝2時間前の入浴は、睡眠の質を改善する。しかし、夜寝る前の食事や熱過ぎる風呂、激しい運動は、交感神経を活発にして体を活動モードにしてしまう。「何事もほどほどが大事」と三島教授。

ベッドに本やスマホなど不要なものを持ち込まないことも大事」と菅原さん。「脳は場所と行為をセットで記憶する。ベッドを『寝るための場所』と記憶させることで、ベッドに入るだけで眠れるようになる。寝る前に本を読むなら、ベッド脇に専用の場所を作って」(菅原さん)。

眠いのに眠れないという人は……
・食事や激しい運動は 就寝2時間前までに
・寝る前の熱い風呂は避ける
・ベッドの中は寝るだけの場所に
・寝つけないときは一度布団から出る
・首の後ろと仙骨を温める
「首の後ろと仙骨のあたりには副交感神経節があり、ここをカイロや湯たんぽなどで温めると、副交感神経が活性化され、眠りに入りやすくなる」(菅原さん)
三島和夫
秋田大学大学院 医学系研究科 精神科学講座 教授
三島和夫 1987年秋田大学医学部医学科卒業。同・精神科学講座助手、講師、助教授を経て、2002年から米国スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 精神生理研究部部長を務めた後、2018年9月より現職。
菅原洋平
ユークロニア代表取締役社長 作業療法士
菅原洋平 国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許を取得。国立病院機構勤務時代に脳のリハビリテーションに従事したことから睡眠の重要さに着目。現在は全国の企業で睡眠マネジメント研修を行いながらクリニックでの睡眠相談なども行う。
古賀良彦
杏林大学医学部精神神経科学教室 教授(当時)
古賀良彦 1971年慶應義塾大学医学部卒業、同大学医学部精神神経科学教室から、1976年現教室に入室。助教授を経て現職。専門は、睡眠障害と関連が深い統合失調症、うつ病の治療など。日本催眠学会名誉理事長。

上編「体内時計を整える メラトニン睡眠術3つのテクニック」はこちらでお読みいただけます。

取材・文/堀田恵美 写真/鈴木愛子

日経ヘルス2015年12月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります