血液検査で異常は簡単に分かる
バセドウ病も橋本病も「すぐ命に関わる病気ではない。診断がつき、治療をきちんと受ければ元気になる病気。だからこそ、理由の分からない不調が続いたら甲状腺を疑って、血液検査を受けることが大事」と山田院長。ホルモンの分泌異常を調べるスクリーニング的な検査なら、内科や婦人科などのかかりつけ医で受けられる。
<血液検査>
まずは以下の3つの数値をチェック。異常値なら甲状腺の専門医を受診。これらの検査は婦人科や内科など、甲状腺専門ではない医療機関でも受けられる。費用は3割負担で1600円程度(検査料のみ)。基準値は医療機関によって多少異なることも。
・甲状腺刺激ホルモン(TSH)
⇒基準値 0.35~3.8μIU/ml
血液中の甲状腺ホルモンを適切な濃度に保つため、脳の視床下部の命令を受け、下垂体から分泌されるホルモン。
・遊離トリヨードサイロニン(FT3)
⇒基準値 2.2~4.1pg/ml
甲状腺ホルモンの一種である遊離型のトリヨードサイロニン。
・遊離サイロキシン(FT4)
⇒基準値 0.7~1.7ng/dl
甲状腺ホルモンの一種である遊離型サイロキシン。
バセドウ病の確定には
血液検査でFT3、FT4の値が高く、TSHの値が低いとき
⇒抗TSH受容体抗体(TRAb)を調べる
バセドウ病の原因物質。基準値は1.9以下。高値だと、甲状腺を刺激しホルモンを過剰につくらせてしまう。
橋本病の確定には
血液検査でFT3、FT4 の値が低く、TSHの値が高いとき
⇒抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)を調べる
甲状腺にある酵素に対する自己抗体。基準値は50以下。これが高値だと自己免疫が甲状腺を攻撃。
⇒抗サイログロブリン抗体(TgAb)を調べる
甲状腺にあるたんぱくの自己抗体。基準値は40以下。これが高値だと自己免疫が甲状腺を攻撃する。
金地病院院長
伊藤病院内科医長
取材・文/福田(渡邉)真由美 図版/三弓素青