「すぐ命に関わらない」橋本病の治療は?

 一方、橋本病は甲状腺自己抗体がつくられる病気。「成人女性の20~30人に1人は、橋本病に関わる免疫の抗体が陽性、つまり病気の素因を持っている」(山田院長)というが、橋本病であっても甲状腺機能低下症になる人は3割程度。「すぐ命に関わらないので、機能が正常ならば、橋本病と分かっても治療の必要はない」(山田院長)。

 低下症の治療は不足している甲状腺ホルモンを補う薬の服用が中心。「一生のみ続ける必要があるが、症状は治療開始後1~数カ月で改善する。副作用の心配も特にない」(山田院長)。

 治療開始後しばらくは、経過を見ながら薬の適量を見極めるため、1~2カ月に1度の通院が必要だが、症状が安定し血液検査の数値も正常範囲に入れば、医師と相談の上、通院間隔を空けることも可能だ。

 日常生活ではヨウ素のとりすぎに注意。「ヨウ素は昆布に多く含まれる。橋本病の人だけでなく、甲状腺機能に異常がない人でも、毎日、昆布を浸けた水を飲むなど、多量にとり続けると、甲状腺が腫れたり、低下症になったりすることがある」(山田院長)。ただし、とるのをやめれば改善する。またヨウ素入りうがい薬の多用にも注意が必要。

 昆布以外の海藻類はヨウ素含有量が少ないため、常識的な量なら毎日食べても影響はない。