妊娠出産が病気の発症や再発の引き金になる可能性

 バセドウ病は甲状腺ホルモンの分泌が過剰になって起こる。男女別で1:4と女性に多く、20~30代の比較的若い世代で発症が多い

 新陳代謝が過度に活発になるため「じっとしていても激しい運動をしているかのような状態になる。代表的な症状は頻脈や発汗。常にエネルギーを消耗しているので、ちょっと動いただけで疲れやすいというのも特徴」(山田院長)。伊藤病院の渡邊奈津子内科医長は、これらに加え「動悸と手指の震え」も典型的な症状に挙げる。

 外見上の特徴には、首の腫れのほか、目がぎょろりとする眼球突出がよく知られるが、「これらが必ず起こるわけではなく、患者全体の3割程度。喫煙習慣のある人に多く出ることが分かっている」(山田院長)。

 治療には、ホルモンの分泌を抑制する薬の内服、甲状腺細胞を減らすアイソトープ(放射性ヨウ素)の内服、甲状腺を切除する手術の3種類があり、症状の程度や妊娠・授乳の有無などを考慮して選択する。

 ホルモン全般が変動しやすい妊娠や出産が、バセドウ病の発症や再発・悪化の引き金になることもある。「妊娠出産時には落ち着いていても、出産後数カ月で再発や悪化することも多いので、経過観察が大切」と渡邊内科医長。