子宮筋腫、日常に支障があるなら手術

 もう一つが子宮筋腫。子宮の筋肉からできる良性の腫瘍だ。子宮筋腫は症状がなければ経過観察でいいが、経血量が多いなど症状を抑えたい場合は、ホルモン剤治療を行う。子宮筋腫も、その成長にはエストロゲンが深く関わる。そのため、「GnRHアゴニスト」というホルモン剤でエストロゲンの分泌を止める。それによって筋腫を小さくする。こちらは、「偽閉経療法」といい、体を「閉経」状態にする。

 「閉経と同様の状態になるので、長く使うと更年期のような症状が出てくる。そのため、続けて使えるのは6カ月まで」(百枝副院長)。手術前に小さくするために使ったり、閉経が近い場合に使ったりする。

子宮筋腫 経血量が多くなる子宮のこぶ

子宮の筋肉からできる良性の腫瘍が子宮筋腫。経血量が多かったり、そのために貧血になったりするが、自覚症状がないこともある。

大きくなると、便秘でもないのにお腹だけがぽっこり出たり、あおむけになると下腹に硬いものが触れたりする。つらい症状がなければ経過観察でいいが、過多月経や貧血、大きすぎて内臓圧迫するなど、日常生活に支障がある場合は、手術が必要になる。
子宮筋腫のイメージ図
子宮筋腫のイメージ図。1は漿膜(しょうまく)下筋腫で、子宮の外側にできる。2は粘膜下筋腫で、子宮内部に向かって筋腫が育つ。3は筋層内筋腫で子宮の筋肉内にでき、多発しやすい。筋腫がどの方向に育つかで3つに大別する。子宮内部に向かうと症状が出やすい。これらが同時に複数できることもある

妊娠出産を希望ならホルモン剤治療は使えない

 子宮内膜症も子宮筋腫も、これらのホルモン剤治療は、今すぐ妊娠出産を希望している場合は、使えない。その場合は、筋腫や子宮内膜症組織を取り除く手術という選択肢も。妊娠出産を希望するか、どの年代なのか、症状はどの程度なのか……によって、治療を組み合わせていく。

 これらの病気は、エストロゲンの量が減る「閉経」を迎えると、症状が落ち着くのも特徴だ。

百枝幹雄(ももえだ みきお)
聖路加国際病院女性総合診療部 副院長
百枝幹雄(ももえだ みきお) 子宮内膜症治療の第一人者。低用量ピルのガイドラインにも関わる。「子宮内膜症や子宮筋腫は、女性のライフサイクルに応じた治療法を検討する必要がありますが、ホルモン剤の発達で選択肢は増えてきました」。

取材・文/白澤淳子(日経ヘルス編集部)、海老根祐子 図版/三弓素青 写真/鈴木愛子

日経ヘルス2015年12月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります