40代に多く、経産婦に発症しやすい子宮腺筋症
子宮内膜症組織が、子宮筋層内に入り込んだ子宮腺筋症にも低用量ピルは有効だ。ただ、低用量ピルは、血栓症のリスクが高まるため(ページ下の囲み参照)、血栓を生じやすい喫煙者は使えない。のみ始めてすぐは吐き気を感じたり、不正出血が生じる場合もある。
一方、低用量ピルで効果がない場合は、プロゲステロンを用いたホルモン剤(黄体ホルモン剤)を使う。プロゲステロンには、エストロゲンの働きを抑える作用があり、「子宮内膜症組織に直接作用して、増殖を抑える」(百枝副院長)。なお、これらのホルモン治療は、体を「妊娠」状態にする「偽妊娠療法」といい、比較的長期に使える。
子宮内膜症組織が子宮筋層内に入り込んで増殖と出血を繰り返す。激しい痛みがあり、経血量が多くなる。40代に多く、経産婦に発症しやすい。子宮内膜症や子宮筋腫と併発することも多い。症状が重い場合は、手術となる。治療法は、子宮内膜症とほぼ同じだ。
この血栓症リスクを考慮して、低用量ピルのガイドラインでは、「50歳を超えると血栓症のリスクは高まるため、40代は慎重投与、50代は使わないほうがいい、という内容になっている」とガイドライン作成に関わった百枝副院長は話す。