「合谷」が効くと推測される2つのメカニズム

 「合谷を痛気持ちいい強さで押し続ける」――たったこれだけで効果を発揮するメカニズムについて、渡辺教授は複数の説があると推測している。

 合谷を押すと、凝りや痛みがとれたり、血圧が下がるのはなぜか。渡辺教授は、「合谷を押すと、多くの人は体がぽかぽかし、汗ばんでくる。これは血液循環が良くなり、血流が増加するため。複数の医学論文でも、合谷に鍼を打つと血流が増加することが証明されている」と言う。

 さらに、「合谷は、凝りや痛みの源であるトリガーポイント(発痛点)ではないか」とも指摘。「ここをほぐすと、筋肉の緊張がゆるみ、交感神経の緊張がとれる。その結果、収縮した血管が拡張するため、痛み物質が押し流され、血圧も下がる」(渡辺教授)。さらに、「脊髄神経には、痛みを伝える『ゲート(門)』があるが、合谷をさすったり圧をかけることによって、門が閉じ、痛みが伝わりにくくなることも影響しているのではないか」と渡辺教授は話す。

 大切なのは、片側3~5分ずつを目安に毎日続けること。「特に首から上の部分には即効性があると感じている。頭痛や肩こり、目の疲れを感じたときにやってみるといい」(渡辺教授)。通勤電車の中や、デスクワークの合間でも無理なくできる。就寝前に押すと、心地よくリラックスできる。

渡辺尚彦
日本歯科大学病院 内科 臨床教授
渡辺尚彦 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。高血圧を中心とした循環器内科が専門。30年にわたり、365日24時間、自身の血圧を測る。近著『血液循環の専門医が見つけた 押すだけで体じゅうの血がめぐる長生きスイッチ』(サンマーク出版)。

取材・文/柳本 操 写真/鈴木 宏 モデル/大塚まゆり 骨イラスト/BACKBONEWORKS

日経ヘルス2017年10月号掲載記事を再構成

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