親指と人さし指の間にある「合谷(ごうこく)」は有名な万能ツボ。 この「合谷」を押すだけで血液循環が活発になると改めて注目を浴びています。このツボ押しの検証を行う医師の渡辺尚彦教授に、効かせるコツを聞きました。

・セルフツボ押し入門 「合谷」を押して血流を活発に ←今回はココ
体の痛みを和らげるツボ押し すきま時間や就寝前のケア

押すだけで痛みも凝りも解消!

 「30数年前、当直の夜に歯痛に襲われ、たまたま雑誌で見た『合谷のツボ押し』をしてみたら、歯痛がすーっと消えて驚いた」と、日本歯科大学病院の渡辺尚彦教授は、このツボに着目したきっかけについて話す。

 以来、診察時に体のあちこちの不調を訴える患者に合谷のツボ押しをしてみたところ、歯痛はもちろん、めまいや五十肩まで改善。「あるときは、頭痛があり、首が動かずうつっぽさもあった20代男性に行うと、たった10分で首がふにゃふにゃに柔らかくなり、視界もクリアになったと喜んでくれた」と渡辺教授。現在、渡辺教授は、合谷のツボ押しを継続することの効果を検証中だ。下のグラフのように、血圧が下がったケースもある。

「合谷」を押して血圧が下がった!
 「血圧はストレスなどさまざまな要因で下がるので、継続して押すことによる作用を検証したい」と渡辺教授が行った試験がこれ。合谷を1日2回(片手5分ずつ)、3カ月間押して、その前後で血圧を比較した。その結果、グラフのように収縮期血圧の平均値が4.3mmHg低下した。「上の血圧が4下がるということは、4gの減塩食の効果に匹敵する」(渡辺教授)。
60代女性が1週間、30分置きに血圧を24時間測定後、合谷の指圧(1日2回、1回当たり片手5分ずつ両手)を3カ月間続けた。その後1週間、同様に血圧を測定。ツボ押し後は収縮期血圧の平均値が4.3mmHg下がった。(C)Yoshihiko Watanabe
60代女性が1週間、30分置きに血圧を24時間測定後、合谷の指圧(1日2回、1回当たり片手5分ずつ両手)を3カ月間続けた。その後1週間、同様に血圧を測定。ツボ押し後は収縮期血圧の平均値が4.3mmHg下がった。(C)Yoshihiko Watanabe

 効く理由について、「最初は痛くても、ずっと続けて押しているとやがて収縮していた血管が拡張するようだ。じわーっと体が温まってくる。温泉につかったみたい、と感じる人もいる」(渡辺教授)。合谷はいわば「血巡りツボ」なのだ。

 合谷は、「人によって場所が若干異なるが、押してみれば必ず見つけられる」(渡辺教授)。手の三角デルタ地帯を少しずつ位置をずらしながら押していくと、痛みを感じる部分が合谷だという(次ページ)。まずは自分の合谷の位置を確かめよう。