重度の歯周病は再生医療で治療する
歯周炎で骨が溶けてしまった場合は、歯科医による治療が必須。「重度の歯周炎治療の主流は骨や歯周組織の再生療法で、エムドゲイン法やGTR法がある」(若林歯科医院の若林健史院長)。
GTR法は骨や歯周組織の自然回復をサポートする方法で、歯肉の回復が骨の再生の妨げにならないようにする。一方、エムドゲイン法は歯根に治薬を塗布して骨の再生を助ける。
いずれも外科手術だが、歯科医院でプラークや歯石を除去し、セルフケアで歯磨きによるプラークコントロールができるようになることが前提。それができないと、手術を受けても歯周病が再発してしまう可能性がある。術後も歯科医院での定期的なクリーニングが必要となる。
再生療法は歯科医院ならどこでも受けられるわけではない。「日本歯周病学会や日本臨床歯周病学会のサイトから、再生療法を行う歯周病治療の専門医を検索するといい」と若林院長はアドバイスする。
歯肉を切開し、ダメージを受けた骨や歯石、プラークを除去すれば歯周組織は自然に回復するが、歯根膜が再生されないと歯槽骨も再生されない。しかし、歯根膜細胞の再生より上皮細胞の陥入のほうが早く、それを防ぐために、切開時に人工膜を挿入し、歯根膜が再生するスペースを保護する。
エムドゲイン法▶︎自由診療1本5万円〜
歯周ポケット6mm以上の歯周炎で行われる。歯ぐきを切開して歯根面を露出させ、プラークや歯石を除去した後、若いブタの歯胚から作られた治薬を塗布する。数カ月から1年程度で骨が再生する。自由診療で1本5万〜15万円程度。「エムドゲイン」はスウェーデンの製薬会社の治薬名で、日本製治薬の治験が進められている。
聖母歯科医院(神奈川県・川崎市)歯科衛生士 T-SIS社長
若林歯科医院(東京都・渋谷区) 院長
取材・文/海老根祐子 イラスト/sino、三弓素青 写真/PIXTA 構成/羽田 光(日経DUAL編集部)