前回、歯周病は口臭や歯が抜け落ちるなど口の中だけでなく、妊娠トラブルや生活習慣病を招くこともあることを伝えました。今回は、歯周病ケアの基本的な方法をご紹介します。

歯周病菌はキスでも感染、月経期に増殖 無意識に進行
・歯周病ケアの基本を始めよう 唾液を出して歯垢を取る ←今回はココ

歯肉炎は徹底したプラークコントロールで治す

 初期の歯周病(歯肉炎)をセルフケアで治すには徹底したプラークコントロールが大切だ。歯周病の予防にもつながる。「歯の表面は磨けていてもプラークを落とせていない人が多い」と聖母歯科医院・歯科衛生士の豊山とえ子さんは指摘する。

 プラークをしっかり落とすには、歯の部位によって歯ブラシの毛先・かかと・わきを使い分けるのがポイント。「歯間、歯と歯肉の境目を意識することが重要。それだけで、磨き残しがなくなる(下図)。毛束の細いワンタフトブラシを使うのもおすすめ」(豊山さん)。

毎日の歯磨きで歯肉炎を治し、歯周病を予防

 歯周病対策には、「歯を磨く」というより「プラークを落とす」という意識が大切。力を入れず、歯ブラシを小刻みに動かすのがポイントだ。染め出し液で、プラークに色をつけると落としやすい。

point1 狙うはプラークが残るポイント
プラークが残りやすいのは歯と歯肉の境目、歯と歯の間。歯ブラシの角を歯肉の境目に沿わせるように小刻みに振動させ磨いていく。

point2 歯ブラシの3カ所を角度をつけて上手に活用
歯と歯や、歯と歯肉の境目は歯ブラシの4つの角を活用すると効果的。角度をつけると磨きやすくなる。

ブラッシングをしてみよう

奥歯:わきを45度にして歯と歯肉の境目〜歯間を小刻みに
1. 歯と歯肉の境目から続けて歯と歯の間を磨き、次に奥歯の手前角を歯ブラシのかかとを使って磨く。歯の裏側も同様に行う。
2. 奥歯の奥側の角は歯ブラシの毛先を使う。次に歯ブラシのわきを上斜め45度にして歯と歯肉の境目を磨く。

前歯:わきを45度にして小刻みに動かし歯間も磨く
3. 前歯も、歯と歯肉の境目から続けて歯と歯の間を磨く。歯並びがずれて隣り合う歯と段差がある場合は、ずれた歯の側面もしっかり磨く。

前歯の裏:歯ブラシのかかとで小刻みに磨く
4. 下の前歯の裏側は、歯ブラシのかかと部分を使う。上の前歯の裏側は毛先を使うと磨きやすい。

奥歯の後ろ:歯ブラシの毛先を上手に使いこなす
5. 奥歯の最奥部、後ろ部分は歯ブラシが届きにくく、特にプラークが残りやすいポイントにあたる。歯ブラシの毛先を使おう。

仕上げにフロスを使おう
6. 歯と歯の間にフロスをそっと入れたら、自然に止まる歯肉の際まで挿入する。片方の歯面に沿わせ、細かく上下しながらプラークを除去。反対側の歯面も同様に行う。