難聴が起こる女性に多い3つの耳の病気

 女性に多いとされる、難聴を伴う病気は3つ。「突発性難聴」「低音部型難聴」「メニエール病」の特徴を順に見ていこう。いずれも放置は禁物だ。

◆1回発症したら再発はしない 突発性難聴

特徴
・突然、片耳が聞こえなくなる
・耳が詰まった感じがする
・立ちくらみやめまいが起こることも

 電話を取ったときに相手の声が聞こえないことで症状を自覚する人が多い。ほとんどの場合、難聴は片耳に一度だけ起こり、同じ耳には再発はしない。聴神経のウイルス感染や内耳の血流障害の関与が疑われているが、はっきりした原因は不明。治療の結果は、「完治」「聴力がある程度回復」「聴力が回復しない」がそれぞれ3割ずつ。

【注意】1週間以内に治療が必要
 聴力に異常を感じたら、48時間以内に治療を受けるのがベスト。遅くても1週間以内には耳鼻咽喉科を受診したい。血流を良くする循環改善剤やステロイド、ビタミン剤、利尿剤などが処方される。

◆再発するたびに悪化する 低音部型難聴

特徴
・耳が詰まった感じがする
・音がゆがんで聞こえる
・低い音が聞こえなくなる

 約80%が女性で、特に20〜30代に急増しており、原因は不明。突発性難聴と混同されやすいが、難聴の程度は軽く、治療で聴力は元に戻りやすい。何も対策を講じないと再発が見られ、蝸牛部がむくむ蝸牛型メニエール病→メニエール病へと移行することも。耳鳴りだけが起きる「無難聴性耳鳴」が前段階として現れることがある。

◆ぐるぐる回るめまいを長時間併発 メニエール病

特徴
・耳が詰まった感じやザーッと音がする
・吐き気がある
・回転性の強いめまい

 ある日突然、回転性のめまい、激しい嘔吐などとともに、難聴や耳鳴り、耳詰まり感が起きる。この発作は数時間続く。内耳で内リンパ水腫が起きることが原因だが、詳しい機序は不明。治療を受けずにいると、再発を繰り返し、そのたびに症状が増悪し、聴力が低下する。進行を止めるには、有酸素運動が効果的。

低音部型難聴を再発する人の80%が蝸牛型メニエール病へ移行し、さらに、20%がメニエール病へ移行する。低音部型難聴から、いきなりメニエール病になる人もいる。
低音部型難聴を再発する人の80%が蝸牛型メニエール病へ移行し、さらに、20%がメニエール病へ移行する。低音部型難聴から、いきなりメニエール病になる人もいる。

 次回は、突発性難聴やメニエール病の予防についてをご紹介します。

石井正則
JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長
石井正則 東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科医長などを経て、現職。スタジオ・ヨギー公認ヨガインストラクターとしても活動中。著書に『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)、『ストレスマネジメントでめまい・耳鳴り・難聴を自分で治す本』(二見書房)など。「耳鳴り、難聴の改善にはがんばり過ぎにも注意して」。
中川雅文
国際医療福祉大学病院 耳鼻咽喉科教授
中川雅文 順天堂大学医学部客員准教授などを経て、現職。耳とコミュニケーション研究の第一人者。著書に『耳がよく聞こえる!ようになる本』(河出書房新社)など。「加齢による難聴は、動脈硬化などによる血流の悪化も原因。有酸素運動で体の循環アップを」。

取材・文/海老根祐子 イラスト・イメージ写真/PIXTA 構成/羽田 光(日経DUAL編集部)

日経ヘルス2016年5月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります