健康な足のためには、正しい歩き方が不可欠です。そこで、東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利さんに、歩き方にまつわる専門家の見解をお聞きしました。歩き方を変えて、病気になりにくく、老けにくい体を目指しましょう。

1日8000歩が目安 強度を意識し、病気を防ぐ

 歩くことは、様々な病気を予防できる「運動」でもある。

 東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利さんは、群馬県中之条町の65歳以上の男女に24時間活動量計をつけてもらい、病気になりにくい身体活動量の目安を分析している(下図)。

■体の健康には多めの活動量が必要だが心の健康は比較的少ない活動量で予防できる
65歳以上の男女約5000人に活動量計を24時間つけてもらった。1日の歩数と中強度活動の量が、病気の発症にどう関係するかを分析。表中のA〜D群は、年間平均から活動パターンを4群に分けたものだ。A群:平均歩数4000歩、中強度活動時間5分、B群:同6000歩、同10分、C群:同8000歩、同20分、 D群:同1万歩、同30分(データ:Sport.Med.;39,6,423-438,2009)
65歳以上の男女約5000人に活動量計を24時間つけてもらった。1日の歩数と中強度活動の量が、病気の発症にどう関係するかを分析。表中のA〜D群は、年間平均から活動パターンを4群に分けたものだ。A群:平均歩数4000歩、中強度活動時間5分、B群:同6000歩、同10分、C群:同8000歩、同20分、 D群:同1万歩、同30分(データ:Sport.Med.;39,6,423-438,2009)

 たとえば、骨粗しょう症、骨折の予防には、7000歩以上、中強度の活動が15分以上の生活パターンを続ければ、予防できると図から読み解ける。中強度とは、最大酸素摂取量の50〜60%に当たる3〜4メッツの活動のこと。

 「ウオーキングなら、会話はできるが、歌は歌えない程度の早歩きに当たる」と青栁さん。

 では、健康を維持するためには、どのあたりを目指せばいいのか。青栁さんのアドバイスは明確だ。「高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防ラインの8000歩以上で、そのうち早歩きなど中強度の活動量が20分以上含まれる、あたりを目標にするのが理想的」と青栁さん。というのも、年間平均から活動パターンを4段階にグループ分けしたときに、上位のC群とD群の健康度には差がなかったからだという。

 また、8000歩を超えると、「免疫機能に関しては逆に低下する恐れもある」(青栁さん)ので、がんばりすぎなくていいそうだ。1日の身体活動量を把握できる活動量計を使えば、ラクに目安が分かる。

青栁幸利
東京都健康長寿 医療センター研究所 老化制御研究チーム 副部長
青栁幸利 トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了。カナダ国立環境医学研究所温熱生理学研究グループ・博士号取得後研究員、奈良女子大学助手、大阪大学医学部非常勤講師などを経て、現職。高齢者の運動処方ガイドラインの作成に関する研究を行う。近著に『やってはいけないウォーキング』(SB新書)など。

取材・文/白澤淳子(日経ヘルス編集部) 写真/PIXTA

日経ヘルス2016年7月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります