空前の筋トレブームで、日常生活に筋トレを取り入れている人が増えています。でも、筋トレの効果について、きちんと把握していますか。筋肉を増やすには、筋トレの頻度やタイミングもポイントになることが分かってきました。運動が苦手でも、効率よく筋肉貯金ができるコツを紹介します。

 「負荷が軽いと効かない」は過去の話! 最新研究で分かった、筋肉を増やすための新常識を5つのポイントに分けて紹介していく。

【筋肉を増やすための5つの新常識】
1・週3回。途中休んでもOK
2・なまけている大きい筋肉を鍛える
3・意識すると効果がアップ
4・階段は下りるほうが負荷が高い
5・筋トレ前に有酸素運動

新常識1・週3回。途中休んでも筋肉は増やせる

→超回復&「mTOR(エムトール)」の活性化で筋肉工場をうまく動かす

 筋トレをすると、筋たんぱく質をつくるスイッチが押されることで、筋肉は増えていく。この筋たんぱく質をつくる「工場」の生産ラインにスイッチを入れ、稼働を上げるのが、「m(エム)TOR(トール)」と呼ばれる物質。mTORの活性は、ちょっとした筋肉の使い方で変わることが分かり、mTORが筋たんぱく質の合成を上げるのにちょうどいい筋トレの負荷のかけ方や頻度などが研究されてきた。

 「筋トレは毎日よりも週2〜3回がいい」というのは、次のトレーニングとの間隔をあけたほうが、筋たんぱく質をつくる作用が上がり、筋肉が増えるから(下グラフ)。

■3日あけるのが効率的
■3日あけるのが効率的
筋トレを行う間隔を短くすると、筋トレ後の筋たんぱく質の合成が増えにくくなったという動物実験。3秒間の筋収縮を10回、7秒間のインターバルで繰り返し、トレーニング間隔を8時間、24時間、72時間の3群に分けて比較した。(データ:Physiol Rep;5,22,e13515,2017)

 「8時間では筋たんぱく質の合成は全く上がらず、72時間が一番上がっていた」(日本随一の筋肉博士である前東京大学大学院教授の石井直方さん)。つまり、3日に1回を目安に筋トレをすると効率よく筋肉が増える。このとき、1回のトレーニングで行う回数やセット数を調整して筋肉が「疲労困ぱい」になるまで行うのが条件。そこまで追い込めない場合など「筋肉の回復が早い軽い負荷の筋トレでは、毎日行ってもかまわない」(石井さん)。

 また、力を入れた状態でゆっくり動くスロートレーニングではmTORの活性が上がり、素早い動きでは下がる。がむしゃらにではなく、じっくりと優雅に行うのがよさそうだ。