新常識4・階段を下りるほうが上るよりも筋肉を増やす

→ブレーキをかけるような力の入れ方のほうが筋肉は1.2〜1.4倍の力を発揮

 階段は、下りるときのほうが、筋肉が発揮する力は大きい。筋肉は縮むときも伸びるときも収縮する。「筋肉が縮みながら収縮する運動に比べ、筋肉が伸びながら収縮する運動では、使われている筋細胞は、より大きな力を出している」(石井さん)。階段でいえば、ひざを伸ばしながら体重を支える下りのほうが、筋肉にかかる負荷が高く、筋肉も太くなりやすいという。

60代の肥満女性30人を対象にした研究で、階段を6階分上る群と下りる群に分け、週2回、12週間行ったところ、階段を下りる群のほうが上る群よりも脚の筋力がアップし、バランス力も高まっていた。 (データ:Med Sci Sports Exerc.; 49,8,1614-1622,2017)
60代の肥満女性30人を対象にした研究で、階段を6階分上る群と下りる群に分け、週2回、12週間行ったところ、階段を下りる群のほうが上る群よりも脚の筋力がアップし、バランス力も高まっていた。 (データ:Med Sci Sports Exerc.; 49,8,1614-1622,2017)

 「せめて下りは階段を使って。やせたい人は有酸素運動になる上りも使いましょう」(石井さん)。

■筋肉が伸びながら収縮する方が大きな力が出る
■筋肉が伸びながら収縮する方が大きな力が出る
腕の前側の筋肉を例にとると、ひじを曲げる動きでは筋肉は縮みながら収縮し、ひじを伸ばす動きでは筋肉が伸びながら収縮する。ひじを伸ばすとき、筋肉が発揮する力は1.2〜1.4倍に。

新常識5・筋肉を増やすなら筋トレ前に有酸素運動

→筋トレ前の有酸素運動で筋肉合成が進む。脂肪を燃やすには筋トレが先。逆順なら脂肪が減る

 筋トレの質を高めるには、有酸素運動を組み合わせて行うのがいい。だが、どちらを先にするかで、筋トレの効果が大きく変わってくる。「脂肪を落とすのが目的の場合は、筋トレ→有酸素運動の順番が効果的。筋たんぱく質合成の観点から有酸素運動→筋トレがよい。だが、筋トレの質が落ちてしまっては元も子もない。筋トレに自信がない人は、筋トレ→有酸素運動の順番で行い、筋トレの効果を上げたいときは、筋トレの後、3時間以上あけるのがよいだろう」(石井さん)。

■有酸素運動を先にすると筋合成は約3倍に
■有酸素運動を先にすると筋合成は約3倍に
筋トレと有酸素運動を続けて行う場合、有酸素運動を前に行うと、後に行うよりも、筋たんぱく質の合成の増加が約3倍になったという動物実験。(データ:Am J Physiol Endocrinol Metab;306,E1155-1162,2014)
石井直方
前東京大学大学院教授
石井直方 理学博士。専門は運動生理学、トレーニング科学。力学的環境に対する骨格筋のメカニズム、筋力トレーニングの方法論、老化防止などについて研究。『石井直方の筋肉の科学』(ベースボールマガジン社)など著書多数。

取材・文/西山裕子(日経ヘルス編集部) 写真/鈴木 宏(モデル)、PIXTA(イメージ写真) モデル/島村まみ

日経ヘルス2019年4月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります