歯周病予防のために、歯と歯ぐきの境目を一生懸命磨いていると、歯ぐきを痛める可能性がある。歯と歯の間を歯ブラシで刺激する「つまようじ磨き」なら歯ぐきを傷めずに歯周病が予防でき、歯ぐきが若返ることが分かってきました。

 食べ物が挟まりやすくなった、歯が浮いた感じがする、口臭が気になる……。そんな、歯ぐきや歯の老化を感じさせる原因のNo.1が歯周病。歯周病は、歯周病菌による感染症で、歯ぐきだけに炎症が起こる「歯肉炎」と、炎症が悪化して歯と歯ぐきのすき間の歯肉溝が深くなっていく「歯周炎」の総称だ。40代、50代に多い病気だが「20代、30代でも、歯周病患者の数は増えている」と神奈川歯科大学の山本龍生教授。

 歯周病になると、「歯周病菌により歯ぐきを構成する結合組織のコラーゲンが壊される。そのため歯ぐきがやせる」(山本教授)。さらに悪化すると骨まで溶けて、歯が抜けてしまうことも。予防・改善には歯ぐきのコラーゲン産生を高める「つまようじ磨き」が有効という。

口の中の老化を進めるNo.1疾患「歯周病」

 「つまようじ磨き」の詳細に入る前に、「歯周病」の危険度をチェック。3つ以上当てはまれば要注意!

□歯ぐきがぶよぶよしている
□歯と歯の間に食べ物が挟まりやすい
□歯を磨くと出血する
□歯ぐきが浮いた感じがする
□冷たいものがしみる
□口臭を感じる、口臭を指摘された
「歯ぐきが下がっていないから大丈夫!」は間違い
歯ぐきが赤く腫れてぶよぶよしていると、すき間が埋まって歯ぐきの下がりが分からないことも。「腫れの中に細菌やその毒素がたまって炎症が起きている状態」(山本教授)。放っておくと歯周病が悪化するので要注意。

 歯ぐきの細胞は、新陳代謝のサイクルに入っている細胞とそうでない細胞があり、「代謝のサイクルに入っている細胞は9~18日で入れ替わる」(山本教授)。刺激でコラーゲンを合成する線維芽細胞が増えると、下記のプロセスで歯ぐきに弾力が出て引き締まる。

歯ぐきは刺激を受けると新陳代謝が活発になる
歯ぐきの断面図。歯ぐきは9~18日で代謝する。歯ぐきへの刺激が、歯肉を引き締めるまでのサイクルは、以下の通り。「歯ぐきへの刺激」→「結合組織の線維芽細胞が増える」→「コラーゲンが増える」→「結合組織を覆う」→「上皮細胞が増える」→「歯肉が引き締まる」