虫歯は加齢に伴い発見が遅れがちに

 ふと口を開けたときに見えてしまう、きらりと光る銀歯。それだけでも老けて見えてしまうもの。口の健康にも老け見え対策にも虫歯予防は大切だ。

 虫歯の原因は、歯垢。「歯垢の正体は食べかすではなく、ほとんどが細菌。つまようじで歯垢を取ったときに先端についた1~2mmの中に、虫歯菌のミュータンス菌などの細菌が約2億5000万個いる」と山本教授。

 虫歯予防には、まず歯磨きで歯垢をしっかり取り除くことが重要だ。また、「大人になると歯の神経が入っている部分が細くなるため、痛みに鈍くなり、虫歯に気づきにくくなる」(山本教授)。手遅れになる前に定期健診などで発見することも大事だ。

 初期の虫歯は、再石灰化(下の図参照)によって修復される。再石灰化とは、食事をして口の中が酸性になり、歯の表面を覆うエナメル質から溶けだしたカルシウムやリンが、唾液によって再び歯の表面に沈着し、エナメル質が修復されること。つまり、唾液がよく出ることが虫歯予防につながる。日常生活で、よくかんで食事をすれば、唾液がよく出る。だらだらと間食を続けると口の中が絶えず酸性になるので避けて。また、「口の中にフッ素があると再石灰化が進みやすい」(山本教授)ので、歯磨き剤はフッ素入りのものがお薦め。「フッ素は緑茶や紅茶にも入っているので食後に飲むのもいい」(山本教授)。

 年齢とともに歯が黄ばんでくるのはコーヒー、お茶などによる着色が主な原因。ホワイトニング用の歯磨き粉を使ったり、歯科医院などの施術を受けるのも手。

初期の虫歯は唾液や毎日のケアで修復ができる
歯が修復されるイメージ。再石灰化(図右側)は、唾液が分泌され、カルシウムとリンが歯に再び取り入れられることで起こる。唾液の中のカルシウムとリンの濃度が高まると、エナメル質を修復する反応が進む。フッ化物イオン(フッ素)があると進みやすい。

一方、食後、口の中が酸性になると歯のエナメル質からカルシウムとリンが溶出、脱灰が起こる(図左側)。虫歯の原因菌が食べ物に含まれる糖分を利用して酸を作る。この酸が、歯の成分のカルシウムやリンを溶かす。

脱灰と再石灰化を繰り返し、脱灰のほうが進むと歯のエナメル質がスカスカになり、穴が開いて虫歯になる。
磨きにくいくぼみもフッ素入りうがい液なら届く
奥歯のくぼみには歯ブラシが届きにくい。そこで役立つのがうがい液。「フッ素入り歯磨きで15~30%の虫歯予防効果が、フッ素入りうがい液なら50%の予防効果がある」(山本教授)。うがい液は歯科医院で購入できる。
山本龍生
神奈川歯科大学大学院歯学研究科災害医療・社会歯科学講座 教授
山本龍生 専門は社会歯科学、予防歯科学。岡山大学病院講師を経て現職。「喫煙や歯ぎしりも歯周病のリスクを上げる。歯ブラシの横磨きも歯ぐきを傷つけやすい」。

取材・文/羽田 光(日経DUAL編集部) イラスト/三弓素青

日経ヘルス2015年5月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります