食事前に30秒食べ物を見るだけの「脳科学ダイエット」で自身も8kgの減量に成功したという、『無理なく痩せる“脳科学ダイエット”』の著者でもある久賀谷 亮さんにインタビューしました。

・「30秒、食事見るだけ」で成功する脳科学ダイエット
・「30秒、食事見るだけ」ダイエット 1週間プログラム
・「自制心に頼らない」究極の脳科学ダイエットとは? ←今回はここ

久賀谷 亮さん
久賀谷 亮さん
『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』(主婦の友社)。「とにかく我慢しなさい」というダイエット法とは一線を画し、脳を変えることによって頑張らなくてもやせることができる「脳科学ダイエット」を提案。食行動を変えるメソッドをストーリー形式で解説する。

無意識で食べてしまうことが食べ過ぎの原因

――「30秒、食事見るだけ」という「いま、ここ」に集中するメソッドを実践すると、いかに自分が何も考えずに食事をしていたかがよく分かりました。

久賀谷さん 食べ始める前に、あえて30秒間の余白を作る、というやり方です。いきなり食べるのではなく、食べ物を観察したり、自分の食欲に注意を向ける、というふうに余白を作る。「自動操縦は余白に弱い」という法則があります。この食前の30秒間を習慣づけるだけで、「無意識に食べ過ぎる」というクセが正されるのです。食べ物に注意を向ける、ただそれだけでいいシンプルさがあるので、男女問わず、誰にでもやっていただける方法です。

――ダイエットに失敗すると、「我慢ができない自分が悪い」と自分を責めて、結果的にストレスがたまって食べ過ぎる、というパターンが多いです。

久賀谷さん みなさんそうやって落ち込むのですが、「そもそも脳が食によって快楽を得ようとする仕組みになっているからで、あなたのせいじゃないですよ」というと、びっくりされるのです。人はどうしても、やせたい、とすぐに結果ばかり求めようとしますが、体をいきなり変えようとするよりも、体に日々とりこんでいる食事との関わり方を変えることに注力したほうが、意外に近道なのですよ。

――食事前の30秒の「見るだけ」が習慣づいて、食事を食べ過ぎることがなくなってきたとしても、食事以外のときに突然「食べたい!」と思うことがあります。特に、疲れていたり、イライラすると、甘いものが欲しくなります。

久賀谷さん 3時頃に血糖値が下がってくると、おやつが欲しくなることがありますね。それは悪いことではないのですが、一口のつもりが際限なく食べてしまう、というときには、衝動的な渇望感(心理学では、クレーヴィングという)が起こっているかもしれません。そのようなときは、欲求の波を乗りこなす、「RAIN(認識=Recognize、受容=Accept、検証=Investigate、明記=Non-Identification」という4ステップのメソッドがお薦めです。

食べたい欲求の波を乗りこなし方(RAIN)
食べたい欲求の波を乗りこなす食欲サーフィン(RAIN) 1.認識=Recognize「食欲の波を意識する」 2.受容=Accept「食べたいんだなと食欲を受け容れる」 3.検証=Investigate「どうして食べたいと思ったのかを観察」 4.明記=Non-Identification「食べたい感覚を言葉にして書き出す」
1. 食欲の波を意識する
(認識=Recognize)
「チョコ食べたい!」この衝動を「クレクレチョコラ」と名付ける。

2. 食べたいんだなと食欲を受け容れる
(受容=Accept)
衝動を封じ込めようとせず「チョコラ、現れたな!」と受け容れる。

3. どうして食べたいと思ったのかを観察
(検証=Investigate)
どうして食べたいのか、体はどんな感じかを観察してみよう。

4. 食べたい感覚を言葉にして書き出す
(明記=Non-Identification)
「ざわざわする」「つばが出てくる」など短いフレーズにしてみる。

※前記事の「30秒、食事見るだけダイエット 1週間プログラム」を終えた後、ぜひトライしてみよう。「食べたい」衝動がやってきても、その衝動を否定せず、乗りこなそう!

 ポイントは、お菓子を食べたい、という気持ちに正面から立ち向かったり抑え込んだり、無視したりしようとせず、自分の中に存在する当たり前の気持ちとして受け容れること。例えば、チョコを食べたいという衝動を「クレクレチョコラ」と名付けるなど、コミカルなキャラクターにして友達になってしまうのもいいでしょう。

 食欲と戦おうとは、しないこと。そして、渇望が起こったときに自分の体がどのような感じになるかを書き出してみます。食べたい欲求と自分を切り離し、客観視する。サーファーが波に乗るような感覚で食べたい衝動を乗りこなすうち、その衝動は収まっていきます。