「人生の空腹感」もなくなり、直感力がアップ

――著書の中に、「食に問題を抱えている人の共通点は『自分に満足していないこと』。でも、その空虚感は、本来、食べることでは満たされない」という言葉があり、印象的でした。

久賀谷さん 世界的なデータでも示されているとおり、日本人は自尊心が低いという特徴があります。自分に厳しく、自分への不満をダイエットによる『変身』で満たそうとする。「自分はこうでなきゃ」と思い込みがちですが、むしろ自分に「よくやっているよ」と声をかけてほしい。自分にご褒美をあげ、自分をケアすることで、過剰な食欲の勢いが弱まり、自分を責めるモードが弱まっていきます。

食欲と理性のバランスをとろう
 食欲の背後に「満たされない気持ち」があることも。自分を責めずに、自分に優しくなることも大切。
たまには自分にごほうびを!
たまには自分にごほうびを!

 「頑張ってるね」と自分に声をかけよう。ごほうびをプレセントすることも、自分を満たすケアに。

――「脳科学ダイエット」を行った患者さんには、どのような変化が起こりますか?

久賀谷さん 理性と欲求とのバランスを制御する脳の「島(とう)」と呼ばれる部位があるのですが、マインドフルネスによって「島」の容積が増えるという研究報告があります。この部位は直感力とも関連があり、いいアイデアが湧きやすくなる、と実感する人も。

 脳科学ダイエットで自己否定感が和らぐと、代わりに自尊心が高まります。完璧な人はいない、一人ひとりユニークでいい、と思えるようになる。その心持ちを、「霧が晴れてきた」「揺さぶられなくなった」と表現する人も。食とは本来、楽しいものです。食を心から楽しめるようになるということで、人生が豊かになっていきます。

久賀谷 亮
医学博士
久賀谷 亮 イェール大学医学部精神神経科卒業。臨床医として精神医療の現場で8年従事の後、2010年、ロサンゼルスで「TransHope Medical」開業。マインドフルネス認知療法にも取り組む。

取材・文/柳本 操 写真/鈴木 宏(モデル)、洞澤佐智子(久賀谷さん) モデル/MIKA

日経ヘルス2019年2月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります