ダイエットの敵と思われがちな油は、実は体脂肪を燃やすのに欠かせない「燃焼材」。油とお腹いっぱい食べられるファットバーニングな「小鍋」レシピなら、ストレスなくやせられます。

・油を上手に摂取して体脂肪を減らす「小鍋ダイエット」←今回はココ
・肉の「小鍋ダイエット」レシピ 鶏・牛・豚・スペアリブ
・魚の「小鍋ダイエット」レシピ 鮭・ブリ・タラ・牡蠣

体脂肪を減らすには、脂抜きダイエットはNG

 野菜や低脂質のささみ肉を中心に、食べる量を減らす──。そんなつらいダイエットを続けても思うようにやせないもの。

 それは、「ダイエットをカロリーで考えているから。カロリーで考えると、どうしても脂質を減らしたくなるが、脂質を減らすとエネルギー代謝が低下してダイエットはうまくいかない」と北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟さん。

 山田さんが薦めるのは、食事の糖質量を減らし、脂質とたんぱく質を満腹になるまで食べる「ファットバーニングダイエット」だ。

◆ファットバーニングダイエット
糖質 → 減らす
油とたんぱく質 → しっかりとる

 失敗の原因は代謝の低下。代謝を落とさず、脂肪が燃える体を維持しながらダイエットすることが大切。

 「長年、油は体に悪いもの、太る一番の原因と考えられてきたが、実は油で太るという根拠はない。それどころか脂質をしっかりとるほうが脂肪を燃やせる体になり、エネルギー代謝が高まることが分かってきた」と山田さん。

 逆に、脂質の少ない食事を続けると、糖質を減らした場合に比べてエネルギー消費量が低下しやすいという研究(下記グラフ)もあり、米国では、脂質制限に科学的根拠がないとして、2015年に脂質摂取量の上限値が撤廃されたという。

食事でとる油を減らすと、代謝が大幅に低下する
食事でとる油を減らすと、代謝が大幅に低下する
肥満の男女21人に同じダイエットプログラムで10〜15%の減量してもらい、その後、脂質制限食、低GI食、糖質制限食の3群に分けて4週間生活してもらった。その後、エネルギー消費量を比較したところ、ダイエット前に比べ、脂質制限食で約400kcal、低GI食で約300kcalエネルギー消費量が低下したが、糖質制限食では低下はほとんど見られなかった。(データ:JAMA;307,24,2627-2634,2012)

ダメな油ってあるの?

 「古い油やトランス脂肪酸には動脈硬化などの健康リスクがあるので避けて」と山田さん。

 「それ以外なら特に気にしなくてもいい。アマニ油やエゴマ油は体に良いが、酸化しやすいので加熱せず早めに使い切ること。個人的にはオレイン酸が豊富なオリーブオイル、オレイン酸の含有量が多い『ハイオレイック』な油を使っています」