イライラのもとはだいたいが人間関係。相手の言動の何かが、引っかかってしまうのです。イラつく関係を変えるコツを、アドラー心理学に基づて心理セラピストの星一郎さんが解いていきます。

アドラ―心理学では、「人間関係を変えるには、自分が変わる」と肝に銘じる必要がある
イライラする気持ちをそのまま人に伝えては関係はよくならない。不快な関係をよくするコツがある

 私たちがイライラするときはたいてい相手がいます。その人の行為や言葉が、気に障るわけです。それが度重なると、相手が何もしていないのにイライラすることもあります。「あの人の声を聞くだけでイラつく」といった状況です。

 何とかしたいところですが、相手があるだけに簡単ではありません。前回、この連載でお伝えしたように、いらだちや怒りの感情には「相手を変えたい」という隠れた意図があります

 でも、イライラをぶつければ、相手は素直に変わるか? 普通はそうなりませんね。これは、自分がイライラをぶつけられる場面を想像すれば、すぐに分かります。誰かからイライラした声で「そういうのやめてよ!」などと言われれば、誰でも不愉快です。たとえその指摘が的を射たものでも、喜んでやめる気にはなりにくいし、下手をすればケンカが始まります。

 イライラする側は「相手が変わるべき」と感じ、イライラをぶつけられた側は「その言い方は不愉快だ」と感じる。なんとも厄介です。

 そんなとき、アドラー心理学ではどうするのでしょう。大前提として、「人間関係を変えるには、自分が変わる」と肝に銘じる必要があります。イライラしているときは、「自分は悪くない、悪いのは相手だ」という発想に陥りがちですが、どっちが正しいという問題ではありません。不快な関係を少しでも心地よくするため、できることをやろうという現実的な話です。そして、自力で変えられるのは自分しかありませんから、まず自分が変わるのです。