あの人はキラキラしているのに、どうして私はこんなふうなの? 「コンプレックス」から抜け出すにはどうしたらいいのでしょう。アドラー心理学の知恵を使って考えていきます。

「コンプレックス」から抜け出すにはどうしたらいいのでしょう。アドラー心理学の知恵を使って考えていきます
「ほかの人に比べて、私はここがダメ」。内面に屈折した思いを抱えている人は多いものです。このやっかいな心理はどこからくるのでしょう?

 容姿、学歴、仕事……。私たちは、いろいろなことに「コンプレックス」を感じます。「ほかの人に比べて、私はここがダメだから」というように、内面に屈折した思いを抱えている人は多いものです。このやっかいな心理はどこからくるのでしょう。そして私たちは、コンプレックスをどう扱えばいいのでしょうか。

劣等感とコンプレックスどこが違う?

 コンプレックスと似た意味で、よく「劣等感」という言葉が使われますが、実はこの二つ、意味がまったく違います

 劣等感は、自分の中の何かが劣っていると思う気持ちのこと。人間はみんな個性的な存在で、それぞれに得意なことと苦手なことがあります。そして、苦手と感じるから、それを克服しようとして、「よし、もっと頑張ろう」という気持ちがわいてくる。スポーツ選手や経営者がよく「劣等感をバネに頑張った」と話しているように、人が成長する上で、劣等感は本来、とても大事なものです。

 ところが、もう一つの要素が加わると、劣等感が成長につながらなくなってしまいます。何だと思いますか? それは「私はかわいそう」という心理です。この心理が加わると、劣っていることを気に病むばかりで、前に進む力がわかなくなる。こうして「劣等コンプレックス」、一般に「コンプレックス」と呼ばれるココロの状態が出来上がります。人をねたんだり、うらやんだりする気持ちにもつながります。

 それならば、「かわいそう」と思うのをやめればコンプレックスから抜け出せる——理屈ではそうなりますね。でもこういうのは一種のクセですから、「もうやめよう」と意識するだけで、すぐにココロの動きが変わるものでもありません。