何かに失敗したり、うまくいかないことが続いたりして、自分が嫌になってしまう……。そんな「自分を責める気持ち」から抜け出す方法を考えていきましょう。雑誌『日経ヘルス』から、アドラー心理学に基づいた「ココロの救い方」を発信します。監修は心理セラピストの星一郎さん。多くの人の悩みを聞いてきた専門家の知見から、心の解きほぐし方を伝授していただきます。

自分を責める気持ちから抜け出せない場合はどうすればいいのだろう
自分を責める気持ちから抜け出せない場合はどうすればいいのだろう

 「あー、またやっちゃった」。

 「どうしていつもこうなるんだろう……」。

 こんなふうに、自分にダメ出ししてはため息をついている人、いませんか。

 私は心理セラピストとして、長年、いろいろな人の悩みを聞いてきましたが、「自分を責める気持ち」にさいなまれている人が、とても多いと感じています。

 連載第1回の今回は「自分を責める気持ちから抜け出す方法」を考えていきましょう。

 この連載で用いるのは、「アドラー心理学」の考え方です。「アドラー心理学」という名前は、最近、ベストセラー本が出るなどして話題になっていますから、ご存じの方もいるかもしれません。フロイトやユングと並んで著名なオーストリアの精神科医、アルフレッド・アドラー博士が創始した心理学です。「心理学」というと難しそうですが、アドラー心理学は生活に役立つ考え方にあふれています。

 私たちは、仕事や人間関係で失敗すると落ち込みます。大事なことを見落としたり、よかれと思って口にしたひと言が思わぬ結果を招いたり。逆に、言いたいことを言えない自分に悩むこともあります。同じような失敗を繰り返すうち、自分が嫌になることもあるでしょう。

 自分が嫌になる、自分を責める気持ちを持ってしまう――この状況からどのように抜け出すのか、次のページから順に見ていきましょう。