仕事の意欲が出ないのは人間関係の問題かも?

 例えば、人と話すのが苦手な人が、「コミュニケーション力を高める技術」を学ぶとしましょう。話題の選び方や言葉遣いを改善することで、滑らかに話せるようになればいいですが、実際にはそうならない場合も多い。「話すのが苦手」と悩む人はたいてい「人目を気にする意識」が非常に強く、相手が自分をどう見ているかが気になって仕方がない。だからスムーズに話せないのです。

 ずっと仕事を頑張ってきた人が、「最近どうも意欲がわかない」と悩んでいる場合はどうでしょうか。これなどは人間関係とあまり関係なさそうに思えますが、話を聞いていくと、しばしば「こんなに頑張っているのに……」などと口ごもるような言葉が出てきます。この「……」の後ろに、「上司が評価してくれない」と人からの評価を気にしたり、「大事な仕事はあの人ばかり」と人と比較するような心理が隠れていることが、意外に多いものです。

 誰でも人の目は気になります。ですが、ちょっと気になるレベルを超えて、「自分の価値のよりどころ」まで人の目に依存してしまうと、ささいなことにもココロが揺れて、自分を前向きに受け入れられなくなります。根底にあるのが、「自己肯定感が低い」という問題です。

 コミュニケーションツールが極度に発達した現代は、誰もがこんな「人の目依存」に陥りやすい時代といえます。そんな心理を抱えたまま対人関係のテクニックだけを学んでも、なかなか悩みは解決できません。

 今月のレッスン1は、自分の「人の目依存」について考えてみましょう。例えば仕事をするとき、上司の意向や指示に注意を向けるのは当然ですが、ちょっとした言動まで気になって、意図を深読みしてしまうようであれば、「人の目依存」に陥っているかもしれません。

Lesson1 人の目を気にしすぎると自己肯定感が低くなる
人の目を気にする人は、「評価が高い私だから価値がある」という発想にはまり込みやすい。すると、いつも人の顔色が気になってしまう。また、失敗をしたり不快なことがあったときに、気持ちを立て直すのが難しくなる。こういうときは自己肯定感が低い状態だ。