「普通」と言いたくなるのは支配欲の表れかも

 私は、「普通」「常識」といった表現は、日本語の中でも危ない言葉の代表だと思っています。こういう表現を使うことで、個人的な判断があたかも絶対的なものに思えてしまう。「これが普通」という決めつけが、相手を上から見下し、円滑なコミュニケーションを壊すもとになるのです。

 そしてここには、以前にもお話しした「支配欲」が入り込みやすい。相手を抑え、自分の意のままにさせたいという無意識の欲求は、「普通」「常識」といった高圧的な言葉と非常に親和性が高いのです。こういう言葉を使ううちに、いつのまにかあなたのココロは、相手を支配しようとする欲求で占められてしまうわけです。

 レッスン2では、支配欲に目を向けてみましょう。「普通はこう」「これは常識」といった言い方で、相手を抑え込もうとしていないでしょうか。何かを依頼するなら「こうしてもらえるとうれしい」、提案するなら「これがいいと私は思うけれど、どうかな」といった言い方でも伝わるはずですね。それなのに、こういう言い方ができなかったり何か物足りないような気がしたりするようなら、それはあなたのココロが相手に対する支配欲に駆られているからかもしれません。

Lesson2 「普通○○でしょ?」と言うことで、相手を支配しようとしていない?
「普通」「常識」といった言葉には、相手に自分の言う通りにさせたい意識(=支配欲)が入り込みやすい。そういう言葉を使わない表現に置き換えてみよう。それで何か物足りないと感じるなら、相手に対する支配欲を満たそうとしている可能性がある。
星 一郎(ほし・いちろう)
心理セラピスト
星 一郎(ほし・いちろう) 1941年東京生まれ。東京学芸大学卒。子育てボランティア団体「わいわいギルド」代表。IP心理教育研究所所長。アルフレッド・アドラー博士が提唱した「アドラー心理学」を取り入れた子育て支援やカウンセリングを行う。近著は『話を聞ける子が育つママのひと言』。

取材・文/北村昌陽 構成/平野亜矢(日経クロストレンド編集)写真/PIXTA

日経ヘルス2016年1月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります