世の中は助け合いで成り立っているという実感

 こういう「仲間として関係をとらえる感覚」のことを、アドラー心理学では「共同体感覚」と呼んでいます。世の中はみんな、助けたり助けられたりしながら生きていくものだという世界観です。これをしっかり持っている人は、どんな環境でもおおむねハッピーに生きていけるもの。これが、アドラー心理学が伝える「ハッピーな生き方」の極意です。

 では、共同体感覚を自分のココロに育てるには、どうすればいいでしょうか。雑談を心がけるのも一つの方法ですが、もう一つ、お薦めがあります。それは、「自分が人に助けられて生きている」ことを確認すること。これが今月のレッスン2です。

 今日1日の出来事を振り返って、「人に助けてもらったこと」を書き出してみてください。仕事などで直接助けてもらったことはもちろん、間接的に助けてもらっていることもたくさんありますね。オフィスが今日もきれいなのは、誰かが清掃してくれているから。三度の食事も、誰かが作ったり調理したりした食材をいただいているのです。

 ずいぶん多くの人が、あなたを助けてくれていることに気づくはずです。世の中はそんなふうに、互いに助け合うことで成り立っています。そのことを深く実感し、感謝するほど、あなたのココロは揺らぎにくくなっていくのです。

Lesson2 人に助けてもらったことやありがたかったことをリストアップしてみよう
今日1日、人に助けてもらったことや、やってもらってありがたかったことを書き出そう。直接助けられたことだけでなく、間接的に自分の生活を支えてくれている人々のこともイメージして。人間同士が支え合って、世の中が成り立っていることを、思い描いてみる。
星 一郎(ほし いちろう)
心理セラピスト
星 一郎(ほし いちろう) 1941年東京生まれ。東京学芸大学卒。子育てボランティア団体「わいわいギルド」代表。IP心理教育研究所所長。アルフレッド・アドラー博士が提唱した「アドラー心理学」を取り入れた子育て支援やカウンセリングを行う。近著は『話を聞ける子が育つママのひと言』。

取材・文/北村昌陽 構成/平野亜矢(日経クロストレンド編集) 写真/PIXTA

日経ヘルス2015年11月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります