今回から3回連続で取り上げるのは「勇気づけ」。アドラー心理学の中心的なテーマです。「できない」「無理……」と思う前にまずは、自分の中にある「勇気」の芽を探してみましょう。雑誌『日経ヘルス』から、アドラー心理学に基づいた「ココロの救い方」を発信します。

人の目を気にして「できない」と思っていない?
人の目を気にして「できない」と思っていない?

 アドラー心理学は、よく「勇気づけの心理学」と呼ばれます。ここでいう「勇気」とは、屋根から飛び降りるような勇気とは違います。危険を省みず、無鉄砲なことをするのは、“蛮勇”というものです。

 アドラー心理学が伝える勇気は、あらゆる人のココロの中にある、行動を生む力のこと。「一歩前に踏み出そうとする気持ち」といえばいいでしょうか。例えば、オープンしたてのカフェに一人で入ってみるときや、習い事を始めるときは、ちょっとしたエネルギーが必要です。行動を後押ししてくれるこのような力を「勇気」と呼ぶのです。

 カフェに入るぐらいならささいなことですが、こうした小さな勇気を大切に育てていけば、やがて、あなたが生きていくうえでとても貴重な力になります。

 ただ、私たちのココロの中には、勇気をくじき、萎えさせようとする作用があるのです。