人の目を気にするから「勇気くじき」が起きる
先に挙げた習い事を例にしましょう。あなたは子供のころから、バレエに憧れていたとします。最近、近所に「大人のバレエ教室」があるのを見つけました。それが、ずっと気になっているのですが、頭の中にはなぜか「やらない理由」が次々と浮かんできます。「体が硬いから無理」「どうせすぐ挫折する」「仕事も忙しいし」……。
似たようなことは、仕事でも起こります。新プロジェクトのアイデアを上司が募っているとしましょう。自分の考えを提案しようと思ったとき、ふと「私の意見なんか採用されない」「私がいわなくても、きっと誰かがいう」といった言葉が頭に浮かびませんか?
こんなふうに、やらない理由を挙げて行動にブレーキをかけることを「勇気くじき」といいます。多くの場合、その根っこには「失敗したくない」「嫌われたくない」といった、人目を気にする気持ちがあります。
でも、失敗するかどうかなんて、やってみないと分からないですよね。やる前から心配ばかりしてやらないなんて、もったいないことです。
さらに、考えてみましょう。勇気くじき思考に陥っている人は、よく「私には、踏み出す勇気はありません」といいます。でも、もし本当に勇気がないのなら、勇気くじきも起きるはずがないのです。
頭の中に「バレエをやらない理由」が次々と浮かぶのは、あなたの中に「バレエをやってみたい」という気持ちがあるからでしょう? それこそが、アドラー流の勇気。すでに、あなたの中にあるのです。勇気くじきという足かせさえ外せば、勇気は自然に表に出てきます。
今月のレッスン1は、自分の中の「勇気くじき」を思い出してみましょう。やらない理由が浮かぶところにこそ、やりたい気持ちがあるのですよ。