「ヒト」と「コト」を分けコトを改善する行動を

 では、どうすればいいのか。今できることから「行動する」のがアドラー流の解決策。これがレッスン2です。

 アドラー心理学では、あらゆるココロの問題は人間関係に起因すると考えます。ですから、自分が不機嫌になりがちな状況での「コミュニケーション」に目を向けてみましょう。

 あなたは、自分の不機嫌なココロを解決しようとする中で、無意識のうちに周囲に非難やイライラを含んだメッセージを伝えていませんか。そんなときこそ、この連載で何度も触れてきた「『コト』と『ヒト』を分ける」の出番。不機嫌なのは「誰かのせい(=ヒトの問題)」と考えるのではなく、不機嫌な気分にさせる「コト」の問題ととらえ、その「コト」を改善するために行動するのです。

 例えば、仕事が忙しいとします。暇そうな同僚に愚痴や不満を漏らしたくなるかもしれませんが、それを口に出しても誰もハッピーになりません。ならば、「ここを手伝ってもらえないかな」と、「コト」を改善する提案をするのです。

 人に頼るのは責任を放棄するようで嫌だと考える人もいるでしょう。でも、それで不機嫌な空気を放ち続けるぐらいなら、明るく「手伝って」といわれるほうが、周囲もよほどありがたいはず。「ヒト」と「コト」をしっかり分離したコミュニケーションなら、周囲はあなたの声に耳を貸してくれるものです。

 「そんなに簡単に気持ちを切り替えられない」ですか? だったら、散歩やストレッチなど、体を動かしてみましょうか。これも「行動する」こと。そうしてココロを切り替えてから、周囲に声を掛ければいいのです。

Lesson2 「今、できること」は必ずある、それを見つけて実践する
やるべきことは、原因分析より「行動」。「ヒト」を責めるのではなく、不機嫌のもとになる「コト」を改善するために何をすればいいかを考えよう。カギは「コミュニケーション」。対話を通じて、やってほしいことを伝え、関係改善を図る。できることは必ずあるはずだ。
星 一郎(ほし いちろう)
心理セラピスト
星 一郎(ほし いちろう) 1941年東京生まれ。東京学芸大学卒。子育てボランティア団体「わいわいギルド」代表。IP心理教育研究所所長。アルフレッド・アドラー博士が提唱した「アドラー心理学」を取り入れた子育て支援やカウンセリングを行う。近著は『話を聞ける子が育つママのひと言』。

取材・文/北村昌陽 写真/鈴木愛子 構成/平野亜矢(日経クロストレンド編集)

日経ヘルス2015年5月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります