不機嫌の原因を探してもハッピーになれない

 アドラー心理学で大切な考え方に「原因を追究しないこと」があります。

 あなたが、何となく不機嫌で疲れた気分になっているとしましょう。体もなんとなくだるいし、やる気が出ない。その原因を考えると、仕事の忙しさや家族の無理解、職場の人間関係など、思い当たることがいろいろあるでしょう。

 分析としては、これらは的を射ているかもしれません。でも、原因を正しく分析できたとして、それでハッピーになれるかといえば、答えは「ノー」です。なぜならココロの問題を分析すると、ほぼ間違いなく「悪いのはあの人だ」という犯人探しに陥るから。そうやって他人を責めても、ココロが晴れることはあり得ません。むしろもっと不機嫌になるのです。

 これはあなたに限ったことではありません。ニュースで目にするクレーマー問題、ちょっとしたことで炎上するブログやツイッター、自己責任論……今は社会全体に、他人を責める空気が満ちています。そんな不機嫌な世の中にいると、私たちも「あの人のせいだ」という思考に陥りやすいもの。でも「それではハッピーになれないよ」と、アドラー心理学は伝えています。原因探しはしない。これを今回のレッスン1としましょう。

Lesson1 「原因探し」という名目で人のせいにしていない?
「仕事が忙しい」「家族が手伝ってくれない」「部下がいうことを聞かない」——何か問題が生じたとき、まず原因を考えたくなるもの。だが、ココロの問題に関しては、原因追究をすると、「人を責める」心理に陥りやすい。他人を責める姿勢が、ハッピーなココロを生むことはない。むしろ不機嫌な気分が強まり、不満やイライラの根になりやすい。「原因探し」はしないこと。