「嫌われているかも?」という不安が強い人は、「嫌われたくない願望」がとても強いものです。でも、その願望の中にこもる姿勢が、健全な人間関係を邪魔しているのです。 アドラー心理学に基づいて心理セラピストの星一郎さんが解いていきます。

嫌われたくない、嫌われたらどうしよう——この願望が健全な人間関係の構築の邪魔をしているのです
嫌われたくない、嫌われたらどうしよう——この願望が健全な人間関係の構築の邪魔をしているのです

 前回は「不安な気持ちから抜け出す方法」をテーマにお話ししました(前回記事・「不安な気持ち」からどう抜ける? アドラー心理学)。相手の何気ない態度から「気に障ることをいったかも。もしかして嫌われている?」と不安を膨らませてしまう人の例を紹介しました。その最後に、こんな話をしたのを覚えていますか。

「人に嫌われたらどうしよう、と不安が膨らむ根っこには、『嫌われたら終わり』という極端な思い込みがある」

 絶対に嫌われたくないと思っているから、嫌われることへの不安が高まる。これは、「失敗したくない」「人に迷惑をかけたくない」などと不安に思う気持ちとも共通です。失敗することを避けたがる人ほど、その裏返しとして「失敗への不安」が高まりやすいのです。

 もちろん、嫌われたくないというのは、誰もが抱く自然な気持ちです。でも一方で、こういうことも考えなくてはいけません。私たちが、誰からも嫌われずに生きていくことなんて可能でしょうか?

おさらい アドラー心理学って何?
オーストリアの精神科医、アルフレッド・アドラー博士(1870〜1937年)が創始した心理学。関連書籍『嫌われる勇気』がベストセラーになり、注目を集めている。人間の心を、原因よりも目指す目的から分析し、目的に向かって行動できるように勇気づけるのが特徴。例えば、ダイエット願望が強い人を「太っていることがトラウマ」と分析するのではなく、「やせることで自分に自信を持ちたい」ととらえる。