長引く膀胱炎は間質性膀胱炎の可能性も

 間質性膀胱炎は日本ではまだなじみのない病気だが、国内の患者数は1万人前後といわれている。長引く膀胱炎は間質性膀胱炎の可能性もある。「膀胱の粘膜の下にある間質という部分に慢性の炎症変化が見られるため問質性膀胱炎と呼ばれるが、まだ原因は不明」と嘉村部長。

 主な症状は、尿がたまったときに起きる下腹痛と頻尿、尿意切迫感。「膀胱の粘膜が破綻した部分から、尿が染み込んで知覚神経を刺激。そのため尿が膀胱にたまると痛みを引き起こす。排尿すると痛みが和らぐので、尿がたまる前に出そうとして頻尿になる」と巴教授。

 早ければ20代で発症し、ゆっくり進行して中高年になって診断がつくことが多い。「初期にははっきりした症状が出るわけではなく、細菌性膀胱炎と間違えられることも。ただ症状は昼夜を問わず、夜間も頻繁にトイレに起きてしまうことが特徴で、これが診断の決め手の一つ。3日間でもトイレ日誌をつけておくと診断に役立つ」と巴教授。

 治療は診断も兼ねてまず膀胱水圧拡張を行うことが薦められる。膀胱鏡で膀胱内を観察しながら水圧で拡張するもので、間質性膀胱炎であれば広範な点状出血かハンナ病変とよばれるビロード状の病変を確認できる。「ハンナ病変を膀胱粘膜に認める場合は電気メスで焼灼すると痛みが止まることも多い。症状を引き起こす飲食物を見つけ出し、それらを避けることも大切。柑橘類やカフェインは症状を増悪させると言われている」と嘉村部長。間質性の疑いがある人は、泌尿器科を受診し専門医に相談を。

間質性膀胱炎のメカニズム
間質性膀胱炎のメカニズムの図
膀胱の粘膜が何らかの原因で破綻し、粘膜下層の間質という部分が炎症を起こす。そこに尿が染みて知覚神経を刺激し、痛みが出る。症状が進むと、間質の炎症部分が線維化して、膀胱が萎縮してくる
間質性膀胱炎の主な外科的治療
【レーザー治療】潰瘍を焼灼 間質性膀胱炎の5〜10%に見られるハンナ病変(膀胱の粘膜層にできるビロード状の赤くただれた潰瘍)を電気メスやレーザーで焼灼する。病変部分を破壊することで、粘膜の再生を促す。

【水圧拡張術】膀胱を広げて病変を破壊 膀胱に生理食塩水を注入し、水の力で風船を膨らますように膀胱を拡げる。同時に、炎症で線維化した病変を剥離させ、粘膜の再生を促す。蓄尿量が増え、頻尿や下腹部痛の改善が見込める。
嘉村康邦
四谷メディカルキューブ 泌尿器科部長
嘉村康邦 間質性膀胱炎や骨盤臓器脱など女性泌尿器科の治療に力を入れる。「膀胱の病気は女性のQOL(生活の質)の低下が問題。一人で悩まず、病院で治療を受けて」。
巴ひかる
東京女子医科大学東医療センター 骨盤底機能再建診療部 教授・診療部長 泌尿器科 教授
巴ひかる 頻尿、尿失禁、骨盤臓器脱など婦人泌尿器科を専門に臨床、研究を行う。「デリケートゾーンの洗い過ぎも防御機能が壊され、膀胱炎の原因になるので気をつけて」。

取材・文/海老根祐子 構成/羽田 光(日経DUAL編集部) イラスト/三弓素青 写真/PIXTA

日経ヘルス2015年4月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります