日常生活でイラッとしてしまう瞬間は誰しもあるもの。しかし、怒り方を間違うと、自分を取り巻く人間関係に支障が生じてしまう。「怒り」の正体は何だろう?

・怒りすぎ、イライラが止まらない…「怒りの衝動」の正体 ←今回はココ
・怒りのセルフケア マイナス感情は6秒間セラピーで解消

「怒り」は防衛本能、本当の感情を隠す手段

 会社では部下につい怒りすぎてしまい、子どもを叱り始めると止まらない……。そんな、怒りに関わる悩みを持つ人は多いのではないだろうか。

 人はどうして怒ってしまうのか。「怒りは、身の危険を感じたり、自分のテリトリーに踏み込まれたとき湧き上がってくる感情で、防衛本能の一つ。怒り自体は自然な感情で悪いものではない。しかし、怒りの感情をそのまま出せば、伝えたいことも伝わらず、トラブルになることも。表現が難しい感情といえる」と精神科医で神田東クリニック院長の高野知樹さんは話す。

あなたの「怒り」をチェック!

 問題になる怒りには、以下4つのタイプがある。1つでも当てはまるなら、怒りとは何かを知り、セルフケアをしていくことが大切だ。

1. 強度の高い怒り
□一度怒り出すと気が済むまで全力で怒ってしまう
□周囲のことも気にせず大きな声で怒鳴る
□相手が反省している様子でもとことん怒る

2. 持続性のある怒り
□いつまでも怒りを忘れられず、根に持ってしまう
□どれほど月日がたっても忘れられない怒りがある
□思い出しては怒りを再燃させてしまう
□怒りを通り越して、恨みや憎しみに凝り固まってしまうことも

3. 頻度の高い怒り
□いつも怒っている人だと思われるくらいに頻繁に怒ってしまう
□いつでも不機嫌
□年中何かしらイライラしている

4. 攻撃性のある怒り
□他人に当たったり、責めてしまう
□自分を責めて、怒りをためこんでしまう
□ドアを叩きつけて出て行ったり、手近にあるものを投げつける
(データ提供:日本アンガ-マネジメント協会)

 日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんは、怒りの正体は、「~するべき」という考え方にあると話す。「約束は守るべきなどの『べき』は自分の期待や願望を表す言葉。これが裏切られ、理想と現実にギャップが生じたとき、人は怒りを覚える」と安藤さん。 一方で、怒りには別の感情が隠されているともいう。不安、つらい、苦しい、悲しいといったマイナスの感情だ。

 「心がコップだとして、つらいことや悲しいことなどでいっぱいになっているところに、願望が裏切られるような出来事があると、感情が怒りとなってあふれ出す。隠された感情を理解していないと、怒りに振り回されていると感じてしまう」と安藤さん。