心のコップが満タンになると怒りの感情としてあふれる

 怒りの矛先は親しい人に向きやすく、会社なら直属の部下、家庭では子どもに集中しやすい。会社でのイライラを家庭で子どもにぶつけるというパターンも少なくない。

 安藤さんは「怒りには社会をいい方向へ変える力もあるが、人格や能力の否定につながり、人間関係を壊すこともある」と話し、注意したい怒りに次の4つを挙げる。

・一度怒ると必要以上に強く怒ってしまう「強度の高い怒り」
・過去の出来事を根に持って怒る「持続性のある怒り」
・イラッとすることが多い「頻度の高い怒り」
・人・モノにあたったり、自分を責めたりする「攻撃性のある怒り」

 怒りすぎに悩む人は、怒ることと怒らなくていいことの区別がつかず、怒る必要のない場面で怒っている可能性も高い。後味が悪く、怒ったことを後悔するような怒りは、不要な怒りとして排除していきたい。

コンディション不良も怒りを増幅させる

 「心身のコンディションが悪いと怒りが増幅する」と高野院長。疲労、多忙、空腹などコンディションを悪くする要因はさまざまだが、特に顕著なのは睡眠不足。「脳の、理性を司る前頭葉より、怒りに関連する扁桃体の働きが活発になるため、いつもなら許せることでも、怒りを感じやすくなる」と安藤さん。アルコールの摂取でも、前頭葉の働きが抑制され、怒りっぽくなる。日ごろから生活習慣を整えることも怒りを減らすコツといえる。

・疲れている
・睡眠不足
・多忙
・アルコールを摂取している
・温度が不快
・騒音の中にいる

 次回は、怒りの具体的なコントロール方法を紹介します。

高野知樹
神田東クリニック院長
高野知樹 日立製作所健康管理センター産業精神科主任医長などを経て、2009年12月より現職。医学博士、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、労働衛生コンサルタント。
安藤俊介
日本アンガ-マネジメント協会 代表理事
安藤俊介 アンガーマネジメントコンサルタント。2003年に渡米し、アンガーマネジメントを学び、日本に導入した第一人者。企業、教育現場、医療機関等で数多くの講演、研修を行う。

取材・文/海老根祐子 構成/羽田 光(日経DUAL編集部) 写真/PIXTA

日経ヘルス2018年2月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります