いぼ痔や切れ痔は治せる　切らずに済む日帰り手術も

【いぼ痔】切らない方法、翌日から普段の生活に

　薬で症状を抑えられない痔は、外科治療の対象になる。とはいえ、必ずしも切る必要はない。

　例えば内痔核。「あまり大きくなく軟らかい内痔核は根元をゴムで縛って壊死させる『ゴム輪結紮（わけっさつ）』。脱出する大きな内痔核は、薬剤を注射して縮小させる『ALTA』で、根治に近い効果が得られる」（山口院長）。

「ゴム輪結紮」「ALTA」治療法とは

　内痔核はゴム輪結紮や、いぼ痔の4カ所に薬剤を注射するALTAで根治に近い効果が得られる。外痔核とつながって脱出する大きな内痔核は、ゴム輪結紮やALTAに、外痔核部分の切除を組み合わせて行うのが主流だ。

ゴム輪結紮　内痔核の根本を縛って枯らす

内痔核をつまんで引っぱり、筒の先にセットしたゴムを根元に向けて発射。根元をギュッと縛って痔核への血流を止める。1～2週間で痔核が壊死し、ゴムごと脱落する。その後、2週間ほどで根元の傷が治る。小さすぎず、大きすぎない軟らかい痔核に向く

ALTA＜アルタ＞　脱出した内痔核を切らずに治す注射療法

排便時に脱出する大きな内痔核や、外痔核とつながった内痔核を切らずに治す方法。内痔核の4カ所に薬剤を注射。痔核を縮小し粘膜に固定する。痛み、出血はほとんどない。施術時間は30分程度。受けた翌日には脱出しなくなるという。日帰りが可能だが、3日ほど入院させる医療機関もある

　ただし、ゴム輪結紮やALTAは外痔核には使えないため、「内痔核と外痔核がひとかたまりになっている場合は、外痔核を歯状線の少し上まで、止血効果が高く傷跡もきれいな超音波メスで切るか、糸で分割して縛る方法を併用する」と野村院長。

　術後の痛みは少なく、受けた翌日から普段の生活に戻れる。

　ALTAを行うと内痔核の縮小につれ外痔核が引き上げられるので、その効果を見てから外痔核の切除を決める手もある。