3つの痔のタイプ・その2 切れ痔

 肛門の皮膚が切れる切れ痔も、きっかけの多くは息み排便だ。そのため、「薬を塗らなくても、排便のコントロールさえしていれば、大概治る」と野村院長。

進行すると⇒傷のまわりに突起ができ肛門が狭くなる

 切れ痔を繰り返すと傷のまわりに「見張りいぼ」や「肛門ポリープ」と呼ばれる突起が生じる。肛門括約筋の緊張が高まって肛門が狭まり、排便後に痛みが数時間続くことも。

切れ痔のイメージ図
裂肛(切れ痔)。20~40代女性に多い。硬い便や下痢の影響で皮膚が切れて痛む
女性に圧倒的に多い痔。排便時に肛門の出口に近い部分の皮膚が切れ、鋭い痛みが生じる。硬い便の通過や、下痢で皮膚がふやけたこと、肛門括約筋が緊張してギュッと締まっていることなどが引き金になる。傷は自然に治るので、切れた原因が解消されれば一過性で終わるが、繰り返す女性が多い。

3つの痔のタイプ・その3 あな痔

 一方、あな痔は大腸菌などの感染で膿瘍ができることが発端。「男性に多いのは、女性よりも便の軟らかい人が多いから。体力が落ちたときになりやすい側面もある」(野村院長)。そのため、あな痔対策は、下痢予防と疲労防止が重要。

あな痔のイメージ図
痔瘻(あな痔)。男性に多く女性は少ない。疲れて抵抗力が弱った下痢ぎみの人に多い
歯状線のくぼみから大腸菌などが入り込み、肛門括約筋の間などを通る肛門腺に感染。お尻の内部に化膿巣をつくる「肛門周囲膿瘍」が発端となる。膿瘍ができると患部が腫れ、鈍痛と熱が出るが、膿が皮膚を破って自然に出るか、切開して膿を出せば楽になる。そのまま治る人が約7割。残りは膿の通り道(瘻管)の炎症が消えず、あな痔になる。下痢ぎみの男性に多いが、女性にもみられる。

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