3つの痔のタイプ・その1 いぼ痔

 いぼ痔には、肛門奥の粘膜にできる内痔核と、出口に近い皮膚にできる外痔核があり、どちらも静脈がうっ血してできる。「肛門管にはアナルクッションと呼ばれる静脈叢(じょうみゃくそう、静脈が密集する部分)があり、血流が豊富。肛門鏡で見ると誰でも粘膜が少したるんでいる。そこに出血、脱出、痛みなどの症状が加わったものが治療を要するいぼ痔」とこじま肛門外科三宮フラワーロード診療所の野村英明院長は説明する。

 出血などの症状を引き起こす主因は日ごろの排便習慣だ。「女性の場合、強く息む『無理やり排便』や『急ぎ排便』で肛門に負担をかけている人が多い」とマリーゴールドクリニックの山口トキコ院長は指摘する。

 内痔核が大きくなると外痔核と一体化し、排便時に肛門から飛び出す。そうなる前に排便習慣を見直せば、これを防げる。

進行すると⇒いぼが肛門から飛び出す「脱肛」に

 大きくなった内痔核が外痔核とつながった状態で排便時に肛門から出てくる脱肛になる。外痔核が急激にうっ血して血栓(血豆)ができると、痛みが数日間続くことも。

いぼ痔のイメージ図
痔核(いぼ痔)。内痔核(上の円)、外痔核(下の円)とある。患者の半分以上を占める。静脈がうっ血した痔で、出血で気づきやすい
肛門管の皮膚と粘膜の境目にある歯状線の内側にできる内痔核と、外側にできる外痔核がある。肛門をしっかり閉じるクッションの役割を担う静脈叢がうっ血し、いぼ状に膨れた状態。通常、痛みはなく、排便時に真っ赤な鮮血が出て気づくことが多い。便秘ぎみで強く息むクセのある人がなりやすい。