「体が疲れている」と感じていても、その疲れの正体は、実は「脳の疲れ」。前回は、細胞のミトコンドリアが活性酸素で傷つき、さびることが脳疲労の原因であることをお伝えしました。今回は脳疲労のセルフケア法をご紹介しましょう。

・だるいと感じるのは「脳疲れ」 ミトコンドリアがさびる
・「脳疲れ」をしっかり回復させるには セルフケアと受診 ←今回はココ

睡眠の質を上げ、抗酸化が疲労回復の近道

脳の疲労と睡眠は関係があるの…!?
脳の疲労と睡眠は関係があるの…!?

 脳の疲労……どうしたら疲れをためないようにできるのだろうか。

 東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長は
(1)自律神経を疲れさせないようにする
(2)回復を早める(翌々日に疲れを残さない)
が大切と話す。早く回復させないと、神経細胞がさびついて脳が老化してしまう。

 (1)の自律神経を疲れさせないようにすることについては、私たちの行動を振り返ってみよう。私たちがよかれと思ってやってしまいがちで、逆に疲れをためてしまう行為がたくさんある。このような行為を見直そう。例えば、ノルマを決めて行う運動、ホットヨガ、眠る前の食事などが該当する。「運動は体調に合わせてするものなのでノルマを決めている時点でNG」と梶本院長。

 (2)の回復を早めることについては、とにかく睡眠の質を高めることが大切だという。「眠る直前の食事、運動、入浴は避けたほうがいい。また、いびきも睡眠の質を悪くする原因」と梶本院長は話す。

 若いころはいびきをかかなかった人も注意が必要だという。「女性は更年期になり女性ホルモンが減ってくると、それまではかかなかった人もいびきをかくようになることが多い。いびきの音が小さく、寝息レベルだったとしても睡眠の質を下げるので注意が必要」と指摘する。

いびきをかく人は ウエストポーチをつけて横向きで寝よう
 あおむけで寝ると、舌の根元やのどの筋肉が重力で垂れ下がり、いびきをかきやすく、疲れが取れにくい。いびきをかく人、もしかしたらいびきをかいているかもと不安に思う人は、横向きで寝よう。

 お薦めの方法は、テニスボールを入れたウエストポーチを体の前後に装着したまま布団に入ること。ウエストポーチが1個だけの場合は後ろに当てる。体は右を下にしよう。自然に横向き寝を朝まで継続できる。筒状の抱き枕に両手と両脚をからめて眠るのも効果的だ。

 回復を早めるもう一つの方法としては、抗酸化物質を摂取することが挙げられる。一般的に抗酸化物質として知られている、アントシアニンやカテキン、ビタミンCなどは作用する時間が短いのが弱点だ。

 「仕事や運動をしている間中ずっと効果が続き、血液脳関門(脳の神経細胞を有害物質から守るバリアー機能)を通り自律神経の中枢に直接働きかける物質がないか研究を続けた結果、イミダゾールペプチドという物質を発見した。これは鶏の胸肉に豊富に含まれている。渡り鳥などが長時間疲れずに羽を動かし続けられるのは、羽を動かす筋肉である胸肉に抗酸化物質が大量に含まれているから」と梶本院長。イミダゾールペプチドは、海を回遊するマグロやカツオなどの大型魚にも含まれている。長時間にわたって抗酸化作用を発揮する食品を摂取して脳の疲れを取ろう。