1日10分、3つのカンタンな運動で骨を強化

 いくら骨にいい食事をしても、運動が足りないと骨は強くなれない。骨は重力や衝撃などの負荷を受けて、初めて強くなるからだ。

 「骨の細胞は骨にかかる力を自ら感知すると、骨作りの指令を出す。反対に負荷がないと、作らなくてもいいという指令を出してしまう」と石橋部長。だから、ベッドで寝たきりの人や無重力下での宇宙飛行士の骨はあっという間に弱くなる。

 つまり、骨強化の運動はいかに骨に適切な負荷をかけるかが鍵。そこで石橋部長が薦めるのが、「体反らし」「両足跳び」「片足立ち」の3つの運動だ。

 体反らしは、ペットボトルで負荷をプラスし、腰椎を強化する。体を反らしたまま5秒キープ、これを15回ほど行う。

 両足跳びは、垂直方向の衝撃運動で骨を刺激し、骨形成を促す。1日合計50回を目安に。

 片足立ちは、脚の付け根の大腿骨頸部を強くするとともに転倒しにくい体を作る。片足ずつ1分、これを1日に3回。

 3つ全部やっても、合計で10分程度。週に3回以上やれば十分だという。「いずれも骨を強くする効果が認められている。もちろん、筋肉も鍛えられる。日ごろ、運動をあまりしていない人や骨量が少ない人の方がより効果が出やすいかもしれない」と石橋部長。

腰椎を強化する【体反らし】1日に15回

 水を入れた1Lサイズのペットボトルを用意。柔らかいマットの上にうつぶせになり、ペットボトルを持って首の後ろに載せる。その状態で息を吸いながら上体を反らし5秒間キープ。胸は少し浮く程度でもOK。1日15回。ウオーミングアップに、まずはペットボトルなしで行ってみて。腰の骨とともに背筋も鍛えられる。

大腿骨の骨量をアップ【両足跳び】1日に50回

 両足でポーンポーンと垂直方向にジャンプする。場所は屋内でも屋外でもOK。1日合計50回。何回かに分けて跳んで、合計で50回になればいい。縄跳びも同様の運動になるので、お薦め。ただし、腰やひざに痛みが出やすい人は無理をしないで。ジャンプが難しい場合は、かかとを上げ下げするだけでもいい。

大腿骨頸部を強くする【片足立ち】1日に3回

 別名「フラミンゴ運動」。足をイラストのように軽く上げて1分キープ。反対の足も同様に。これを1日に3回。歯を磨くときやちょっとした待ち時間などに行うといい。ふらつく人は壁や机などに手を添えて。脚の付け根の大腿骨頸部の骨量が増えるという報告がある。また筋肉やバランス能力も強化、転倒予防効果もある。

日進月歩の骨粗しょう症治療薬
1年に1回の注射ですむ新薬も登場
 骨粗しょう症の薬は大きく3タイプ。骨の吸収を抑える薬、骨の形成を助ける薬、そして吸収と形成のバランスを整える薬だ。最も多く使われているのは、骨吸収を抑えて骨量を増やす「ビスホスホネート製剤」。のみ薬や注射薬があり、週に1回、月に1回などと使用頻度の選択肢も多く、「ゾレドロン酸(商品名リクラスト)」は1年に1回の点滴ですむ。また、骨形成を促す薬も『副甲状腺ホルモン薬(同フォルテオ、テリボン)』『抗スクレロスチン抗体(同イベニティ)』の2剤があり、充実度を増している。骨粗しょう症治療薬は近年、劇的に進歩している」と石橋部長。
太田博明
藤田医科大学病院国際医療センター客員病院教授、山王メディカルセンター女性医療センター医師
太田博明 慶應義塾大学医学部卒。米国ラ・ホーヤ癌研究所訪問研究員、慶應義塾大学産婦人科助教授、東京女子医科大学産婦人科主任教授、国際医療福祉大学臨床医学センター教授を経て、2019年より現職。日本骨粗鬆症学会元理事長、日本抗加齢医学会監事。著書に「骨は若返る!」「筋肉は若返る!」(さくら舎)など。TV出演にNHK総合『ガッテン!』、『あさイチ』、NHK BSプレミアム『美と若さの新常識』などがある。
石橋英明
伊奈病院副院長、整形外科部長
石橋英明 東京大学医学部卒業。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、関節外科。NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事も務める。著書は『骨粗鬆症の最新治療』(主婦の友社)など。

取材・文/佐田節子 イラスト/sino 構成/太田留奈(日経BP経済メディア編成部)

日経ヘルス2017年3月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります