手荒れの症状によって対策を変えよう

 手荒れを繰り返さないためには、普段の生活からその要因を取り除くことも大切だ。「石けんや殺菌剤の使い過ぎは避けて。手洗いは、ぬるま湯で洗い流すことでも十分な風邪対策になる。殺菌用のアルコール製剤は手を洗えないときに使って。保湿成分入りがお薦め。熱いお湯は皮脂膜を壊すので、手荒れ対策には、入浴は40℃以下、水仕事は37~39℃が適温」と服部院長。

 毎日使っている食器用洗剤なども見直してみよう。「ラウレス硫酸系などの界面活性剤を含む洗剤は刺激が強く、できれば避けたい。購入時に成分を確認して。洗いものをするときは、パウダーフリーのプラスチック製手袋で保護するとなお安心」とドクターケンクリニックの中村健一院長はアドバイスする。

 ハンドクリームでどうにもならず、手湿疹などが見られるときは、皮膚科に行こう。「ステロイド外用薬で炎症を抑えながら、保湿剤を併用していくのが一般的」と中村院長。

■手荒れは初期、進行期、重症期の時期で対策が異なる

【1】手荒れ初期
● 粉っぽい
● 軽くかさつく

十分な量のハンドクリームで、マッサージをしながら、手に塗り込む。「指先の軽いかさつきなら、一日で改善する」(服部院長)。一年を通して、ハンドクリームでケアすれば、冬になっても手荒れを起こしにくくなる。

【2】手荒れ進行期
● ひび割れ
● ごわついている
● 赤みが目立つ
● 血が染みる

これ以上、手荒れが悪化しないように、水仕事ではプラスチック製の手袋をはめよう。手を洗った後は、やわらかいタオルで水気を拭き取り、必ずハンドクリームを塗っておく。「外出時には冷気から守るために手袋を」(服部院長)。

【3】手荒れ重症期
● 猛烈にかゆい
● じゅくじゅくする

セルフケアでは治らないので、皮膚科を受診して。「ステロイド外用薬と保湿剤による治療が一般的。慢性的な手荒れは紫外線治療を行うこともある」(中村院長)。日常生活ではできるだけ綿手袋をはめ、さまざまな刺激から手を保護する。

職業的に「治らない手荒れ」はクリニックで治療を

 美容師や看護師など、手荒れが職業病になっている場合、皮膚科で治療を受けても、なかなか完治するのは難しいのが現状だ。「現実問題として仕事を辞めるわけにもいかないため、近年、皮膚科医の間でも、職業上の手荒れを治していこう、という動きが高まっている」と中村院長。

 「重症期の手荒れは、皮膚の中へ入り込んだ刺激物に対するアレルギー反応も関係しているため、過剰な免疫を抑制する紫外線治療を行うクリニックが増えている。一般的には、週1~2回の照射を2カ月間続ける。健康保険が適用されることが多いので、経済的な負担は少ない。仕事をしながらでもなるべく、手をいい状態に保てるように、相談しやすいかかりつけ医を見つけて、根気よく治療を続けたい」(中村院長)。

エキシライト-マイクロ
エキシライト-マイクロ
紫外線を照射するマシン。過剰な免疫力の働きを抑え、アレルギー反応による皮膚の炎症を改善する効果がある。保険が適用される場合もある

服部英子
南青山皮膚科スキンナビクリニック院長
服部英子 東京女子医科大学医学部卒業。日本皮膚科学会皮膚科専門医。保険診療の一般皮膚科と自由診療の美容皮膚科で、女性の心に寄り添う治療を行う。特にアトピー性皮膚炎に実績がある。
中村健一
ドクターケンクリニック院長
中村健一 一橋大学法学部、信州大学医学部卒業。聖路加国際病院皮膚科等を経て、おゆみの皮フ科医院を開業。「日経メディカルonline」で「【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来」を連載中。

取材・文/海老根祐子 写真・イラスト/sino、PIXTA  構成/羽田 光(日経DUAL編集部)

日経ヘルス2017年2月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります